スタンドバイ・ユー (ページ27)

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『じゃあ、Aちゃんにいいこと教えてあげる』
『え！なんですか？』
『…知りたい？』
『それは…はい、知りたいです』

ふふ、って笑って少し間を開けて田中さんが言葉を繋ぐ。

『……これから先、もう少し先。きっとAちゃんはさみしくなくなるよ』
『……え？どういう意味ですか？』
『…まだ、かな。もう少ししたらわかるよ』

俺が保証してあげる、Aちゃんは絶対に幸せになれるよって言ってくれる。

電話の向こう側から伝わってくる優しい声色と言葉に、胸がきゅうってなって。

優しすぎるあったかい田中さんの言葉に、ちょっとだけ鼻の奥がツンとして。

『…だから、その日が来るまではさ。寂しい時も暇な時も、何ならどんな時でも連絡してきていいよ』
『……わたし、面白い話とかできないからつまらないかもしれないです』
『ふはっ！(笑)つまらない会話もしようよ。……俺ら〝仲良し〟なんだからさ？』

仲良しってそういう他愛もないこととか、くだらないこととか話したりするでしょ？って。

『……じゃあ、今日の夜ごはん作った時に撮った変な形したにんじんとかも送ってもいいですか？』
『ねぇ(笑)めっちゃ面白いじゃん(笑)』

まあちょっと気になるからいいけど、めっちゃウケる、って電話の向こうで田中さんがゲラゲラ笑ってる。

わたしもそんなに笑われると思わなくてつられて笑って。

『……なんか、げんきでました』
『…ね？だからいつでも、連絡しておいで』

俺も久々こんな声出して笑ったわ、ってまたちょっと笑ってる。

『じゃあ……おやすみなさい』
『ん、おやすみAちゃん。また明日ね？』

その後、本当にわたし、連絡しちゃいますからね、あとから嫌だって言わないでくださいね！って言ったら、そんなこと言うわけないじゃん、誰だと思ってんの！(笑)って言われて。

そろそろ日付変わったから寝ようか、の田中さんの一言で電話を切った。

きっと、あのままだったらひとり寂しくベッドの中でずっと考えてなかなか眠れなかっただろうなあ。

田中さんってちょっと魔法使いみたい。