スタンドバイ・ユー (ページ20)

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「……A、違うよ。…あなたを怒って責めてるんじゃない」
「…………」
「……Aが、そういう風に頼まれた仕事ちゃんと責任持って最後までやることも知ってるからこそ。そういう使われたりしてることに腹が立ってんの。……わかる？」

顔を上げたら北斗くんは困ったような、心配したような、なんとも言えない顔をしていて。

　

「……ただ一個だけ、怒ることあるけど」
「…え」
「………大丈夫じゃない時に大丈夫って言うのやめなよ。」

俺、昨日ちゃんと確認したよね？

無理なことは無理って、できないことはできないって言ってもいいんだよ。嫌なら嫌って言わないと。って。
一人で頑張るんじゃなくて困ったりしたら助けて貰えばいいんだよって。

「………それで？どうなの？終わるの？その仕事」
「…………終わる、と思う」
「…また今日も昼食べずに、休憩も取らずに、挙句残業して？」
「えっ、な、」
「……やっぱり」

なんで知ってるの、と思ったけど北斗くんの顔を見たら知ってたわけじゃなくて、今のは…鎌かけられた。バレたんだ。

また北斗くんはため息ついて、わたしはバツが悪くて俯いて視界に入った北斗くんの革靴をじぃっと見つめる。

「今日も……終わるか、終わらないか焦りながらお昼食べずに、夜も残業して、ひとりでやる？」
「………」
「……俺、今日会議もなくて外回りもなくて、わりかし暇な日だけど」

なんなら、その分野なら俺得意だけど、って。

え？と思って視線を戻したら優しい顔をしてて。

…こんな、自分で勝手に受け入れていっぱいいっぱいになってるのに。

「……どうする？」
「………」
「………ちゃんと言わなきゃわかんないよ」
「…北斗くん、」
「なに？」
「…仕事、終わらなくて、」
「うん」
「……手伝ってほしいです」

北斗くんの優しさにそう言葉にすれば、呆れたようにはぁっとため息をまたついて、でも笑って、よく言えました。任せなって言ってくれる。