スタンドバイ・ユー (ページ17)

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「あ、宇野さん！ちょっといい？」
「はいっ！」

黙々とパソコンと向き合ってたら部長から呼ばれる。

「申し訳ないんだけど、コレ、隣の田中くんに渡しておいてもらえる？多分定時くらいには会議から戻ってくると思うんだけど、僕このままちょっと出なくちゃでね」
「はい、かしこまりました！」

書類が入れられたクリアファイルを受け取って部長を見送る。

忘れないように、とデスクに戻って付箋を取り出して１７時田中さんに書類渡す！、と書き込んでパソコンの端っこにくっつけた。

…と思ったら部長が急いで引き返してきて、宇野さん！その書類、明後日の会議で使うって伝えて！とプラスで伝言を受け取る。

これまた、忘れないように！と新しく付箋に書き込んで、ファイルの中に貼り付けた。

１７時。

みんな、お疲れ様〜、ってゾロゾロと帰っていく。

少し視線を奥のデスクに向ければ、この仕事を頼んできた先輩が帰る準備をしていた。

心の中に浮かぶモヤモヤや疑問には気づかないふりして、大丈夫、やれるやれる！、と周りの社員さんたちにお疲れ様です、と挨拶をして、とりあえず頼まれた書類片手に隣の部署へ足を進めた。

入り口から覗いてはみたけれど、……田中さんのデスクってどこだ

残ってる人が少ないから、田中さんがまだ不在なことがすぐにわかったけど…

「…あれ？どうしたの？」
「あ、髙地さん。お疲れ様です」

ちょうど帰るところだったのか鞄を持って歩いてきた高地さん。

部長から田中さんにって書類頼まれたんですけど、ってファイルを見せればあー、アイツまだ会議か。って腕時計を確認していて。

「急ぎじゃないでしょ？デスクの上に置いておくよ」
「はい、じゃあ…お願いします」

髙地さんのお言葉に甘えて、ファイルを渡した。

お疲れ様、って言ってくれて挨拶して戻ったけど、わたしはこれからが本番だ。

ひろくんに『今日明日、残業になると思う。ごめんね。』とラインを入れておいた。