03 ▶︎▷ [ 私と義弟 ] 〖 🤍 〗 ページ12
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私が結婚も妊娠も祝福されていないと思い知ったのは
両家顔合わせの時だ。
たった1人しかいない彼の肉親、
「自慢の弟なんだ」。
彼はそう言って穏やかに笑っていたけれど
紹介された方はと言えば、そう、
その視線は“ 敵意 ”と呼ぶに相応しいとすら思った。
「______はじめまして。弟のラウールです。
お義姉さん?」
「兄さんは僕の大切な兄弟、ですから」。
そう言って微笑んだ若い彼は絶対によろしく、なんて
思ってないと直感した。
私はその射抜くような強い強い眼差しに目を背け、
目の前に広がる懐石料理を必死に口に運ぶしかなかった。
美味しいはずなのに
何の味もしなくて、早くこの時間が終わればいいとさえ思った。
「わ、たし………ちょっと御手洗いに、」
彼から聞いていた話とのあまりのギャップに怯んでしまっていた。
私の夫になる人______
蓮と出会った時、まるで身体が雷に打たれたみたいな衝撃を受けた。
後に蓮にそれを伝えると、
「実は俺もそうだった」と言い、私たちの出会いはきっと運命に違いなかったね、なんて笑いあった。
絶対に一緒になると予感していた時に、分かった妊娠。
「順番が逆になってごめん」と蓮には謝られたけれど
私は心から幸せだと思ったし、蓮の家族もきっと喜んでくれると聞いていて、本当に今日のこの日を楽しみにしていた。
父さんも母さんも事故で死んだけど
人生の途中で家族になった“ 弟 ”は
自分の幸せを1番に願って喜んでくれるはずだと____
私はそう聞いていたのに。
日本人離れした顔立ちとスタイル。
若さの中に、特有の憂いや危うさを兼ね備えた瞳で
彼は私のことを射抜いていた。
確実に。
御手洗いから戻る途中、
皆が集まる広間から離れた庭先で彼の姿を見つけた。
ひらりと舞う桜の花びらを見上げて
その目は、
ひどく物悲しそうで。
呆然と突っ立っている私に気づいた時に、
それはゆっくりと明らかな敵意を翻した。
「俺は貴女を認めない。
…絶対に。早く出て行ってよね。それとも追い出されたい?」
こんな白昼に、私は夢を見ているのかと思った。
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Haruno(プロフ) - aさん» お返事が遅くなり申し訳ありません…!😭DMの方も有難うございました!!すごく嬉しいコメントです…🙏 (7月29日 19時) (レス) id: 7ace42d2c7 (このIDを非表示/違反報告)
a(プロフ) - 初めまして!読ませていただきました♡個人的には爆撃メランコリーがとても好きで、病んでる具合がもう本当に最高でした😭別作品もこれから読ませていただきます!またコメントさせていただきますね☺️ (7月17日 0時) (レス) @page27 id: 6ee03389e7 (このIDを非表示/違反報告)
Haruno(プロフ) - ayaさん» aya様、コメント及びご投票有難うございます!選べないとおっしゃって頂けて本当に嬉しく思います…🥹🙏どのお話も練った甲斐がありました。また投票結果の方ご覧頂ければ嬉しいです!有難うございました…! (5月28日 23時) (レス) id: 7ace42d2c7 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - どれもいいところで終わってて長編になるとどうなるのー?と期待しかないお話でした!なべこじ三角関係はちょっと担当様を応援したくなっちゃいます💙個人的には保育士してるので蓮先生もうはうはです!一つには選べませんでした!、😇 (5月28日 11時) (レス) @page50 id: ff23500b61 (このIDを非表示/違反報告)
Haruno(プロフ) - hs.さん» hs.様、こちらこそ有難うございます!💜両方選んて頂けてとっても嬉しいです🥹今日結果を発表する予定ですので、どうなるか、またお知らせさせて頂きます!いつも有難うございます…! (5月28日 8時) (レス) id: 7ace42d2c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Haruno | 作成日時:2023年4月16日 10時