ミズキくんをローンで買いました

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翌朝、せっかくの休日だと言うのに鳴り響くインターホン。
何？宅配便？こんな朝から……、と眠い目を擦りながら、はいはい今行きますよ〜、とサンダルを足に引っ掛けた。


『すみませ……』
「遅い」
『へ、』


誰、と聞く前に頭の中を駆け巡る記憶。
……ああ、この顔は、ミズキくんだ。
生で見るとより一層かわいい顔をしている。
さすが月８万✕✕年ローンの子だ。


「ほんと、A朝弱いよねえ」


目を細めて愛おしむように私の頬を撫でる。
な、なんで名前を知ってるんです？！


「ほーら、いつまで“彼氏”を玄関に立たせるつもりなの？」
『あ、どうぞ……』


おじゃましまーす、と家に入り込んでぐるりと見渡した。


「今起きたばっか？お寝坊さんだなぁ」


寝て起きてそのままだった形の布団をきっちりと整え始めた。
もう彼氏？！確かにミズキくんを彼氏として買ったけど。もう彼氏？！
初めましてのやり取りはないんですか？！


『ミ、ミ、ミ、ミ、ミズキくん、』
「何、ミミズ？」
『いやミズキくん！』
「なあに？」


甘い、甘い、声がでろ甘い！
課金して得た彼氏はこうも甘いのか！


『その、まず初めましてをしませんか？』
「やっぱり戸惑うよねー、この設定」


社長バカだよね、と間を空けずに私の隣にピタリとくっついて座った。


「初めまして、イノウエミズキです、これから、俺はAの彼氏だよ」
『ど、どうも……？』


ああ、そうだ、と何かを思い出したかのようにミズキくんが首をこてんと傾げた。


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