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「A、今日は休みなの?」
『うん、至福の日曜日』
「じゃあデートしよっか」
……本当に、Aの彼氏になりたいの、
だから俺のこと好きになって?
早く準備して、と急かして洗面所に押し込む。
ああそうだ、言い忘れてた。
「スカートはダメだからね?」
ほかの男に見られたくないし、というか俺以外Aのこと、視界に入れないでよ、なんて理不尽過ぎる?
お化粧をしてさらに綺麗になるA、あーもう、独り占めしたい。
「スッピンもかわいいけど、オレンジのチーク、かわいいね」
素直にそう言うと、頬を更に赤らめて、着替えてくる!と別の部屋に逃げ込んでいった。
しばらくして部屋から出てきて、どう?変じゃない?と首を傾げる。
「……うん、かわいい、じゃ行こ?」
『あ、ありがと』
「何が?」
『お世辞でも、やっぱり嬉しい』
お世辞なわけないじゃん、俺可愛くない女に可愛いなんて言えるほど優しくないよ?
「何それ、言っとくけど俺嘘つけない超正直者だから、」
そんなことを言いながら、Aには嘘をついていて。
いや、嘘をついてるというより隠してる?
とにかく、Aを騙していることには変わりない。
でもいつかちゃんと言うから、ずっとAのことが好きだったって。
罪悪感に苛まれて痛む胸を誤魔化すように、A手を取って引っ張っていく。
「……A、好きだよ」
今は聞こえないように呟くのが精一杯。
『ん?』
「A背ちっちゃいね、って言ったの」
いつの間にか追い越していた身長、見下ろすと、ミズキくん細いけどわりと背高いね、と笑う。
わりとって何?!
ちらり、と隣を歩くAを見ると、切なそうな表情を浮かべていて。思わず綺麗で見蕩れた。
綺麗になっていく姿を見て行きたかったのにそれは叶わなかった。
だけど、これからはAとの未来を見たいんだ。
『ミズキくん……!』
「ん?」
好きな人に名前を呼ばれる、それだけで幸せなんだと知ることができた。
恨んでしかなかったけど、結果論、ちょーーーっとだけ親父に感謝かも、
*
『ミズキくん、何ぼーっとしてんの』
「ここに来た日のこと思い出してたの」
『ああ、懐かしいね?』
空っぽな部屋、
これからもAと一緒にいることは変わらないけど寂しくて。
「…A、買ってくれてありがとうね、」
初恋の人にローンで買われました、fin.
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みいちゃ(プロフ) - この作品大好きです!! (2020年3月18日 12時) (レス) id: 49e92806b6 (このIDを非表示/違反報告)
だいふくリンゴ☆ - いつも楽しく読んでます!!最後ちょこっと泣きそうになりました…応援してます!! (2019年11月21日 14時) (レス) id: f2e97ee25b (このIDを非表示/違反報告)
くもり(プロフ) - 男の子飼う系のお話大好きなのでとっても楽しませていただきました!ありがとうございました! (2019年10月26日 4時) (レス) id: dd30b09f12 (このIDを非表示/違反報告)
綾音(プロフ) - 本当に面白かったです!みずきくんにキャーキャーキャーキャーしながら楽しく読ませていただきました(笑)これからも応援しています! (2019年10月14日 1時) (レス) id: e120810d5e (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりー - 深夜にちょこっと読める()完結もの求めてた井上担です!たまたまたどり着いたローンのお話最高すぎです読んで良かったですT_T最後泣きそうになりました(重ヲタ)これからも陰ながら応援しています!!! (2019年10月6日 0時) (レス) id: 83cc27dc06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アオ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=blueao5&scr=novel/jeyuto01...
作成日時:2019年7月18日 15時