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何を言おうとしたかは正直定まっていなかった。
確信に迫る為の一言を探っていたような気もする。
期待という言葉の正体に迫る為の一言なのか、俺もまた同じ気持ちだと言おうとしたのか、はたまた許しを乞う言葉か。
迷いがあったのは、一瞬でも過った俺の現実のせいだ。
だが、そんな言葉は恐らくAと何かがあるのであろう男が現れたことで死産になった。
険悪で剣呑ではない雰囲気が一瞬でその場を支配し、思わずAと男の間に立ち塞がる。
彼氏か、いや、きっと違う。
初めて見るAの拒絶するような態度を見て俺は直感した。こんなAの姿は今まで一度も見たことはなかったからだ。
その時は自分が芸能人であるとか、問題を起こしてはいけないとかそういう責任のようなものを忘れた。
｢私は、騙してない。確かに、はっきりと断らなかった私が悪いけど……でも、今は貴方とは関係ない｣と震える声で言うAの握りしめた拳にそっと手を重ねる。
目の前の男に見せたはっきりとした拒絶と俺には見せない姿に、正直喜んでいた。
俺はこの男とは違う、俺はAに受け入れられている。
明確に区別されたその立場に昏い喜びがある。
｢出よう｣
申し訳なさそうな顔をしつづけるAの姿に少し心が傷んだが、それ以上に俺の頭の中ではどこか浮かれたような気分が抜けきらずにいた。
俺とあの男の扱いが違うという現実とその意味をぐるぐると考え続けていたからだ。
握ったその小さな手が離れないでいるという事実だけでも、今日には大きな意味がある。
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ムルーア(プロフ) - 初めまして💜一気に読んじゃう程話に吸い込まれて胸がギュッとしました😭素敵な作品ありがとうございます🥰 (6月21日 20時) (
レス) id: e97b81299d (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - めーぷるさん» ありがとうございますー！私も雰囲気は気に入ってるので嬉しいです……！ (2019年6月30日 16時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
めーぷる(プロフ) - 大好きです、この作品 (2019年6月25日 14時) (レス) id: eb55ea3859 (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - りおさん» ありがとうございます！ 結構淡々とした話だったので、楽しく読んでいただけて嬉しいです！ (2019年6月24日 13時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
りお - とーーーっても面白くて、どんどん読み進めちゃいました！ (2019年6月22日 2時) (レス) id: 189551a3bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sai
| 作者ホームページ：https://twitter.com/xxx___sai/
作成日時：2019年5月1日 16時
