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｢コンビニ寄ってもいいか？｣
｢はい｣
｢Aがアイス食べたいって｣
そう言って見せられるカトクの俺よりもずっと打ち解けた口調のそれにざわざわと胸がざわめく。
普段から恥に耐性がない自負もあり、よく分からないままコンビニについていき、片っ端からアイスを取った。
何味が好きでどのメーカーが好きなのかも分からなかったからだ。
この恥から逃げられるならいくらでも買ってやると半ばヤケクソで会計をする。
｢奢ってくれんの？｣という兄さんの脳天気な声に雑な返事をした。そして自分もアイスに齧り付いた。
会いたいような会いたくないような複雑な気持ちの中で、残酷にも時は過ぎてあっという間にサンハ兄さんの家に着く。
もちろんそういう時に限ってAは家に居る訳で。
車を停めてから上に上がると言った兄さんのの言葉に半ば呆然としながら数分間Aの部屋の前でうろうろとした。
アイスが食べたいとAが買ってきたからついでに買っただけ、と自分に言い聞かせるように何度も頭の中で唱える。
そうでもしていないとあの夜の自分の所業に耐えられそうになかった。
恥ずかしいことをしたし、思い切り触れた。
それに、Aは拒絶をせず受け入れた。
それが現実だと言われても、これ以上のことは今の俺には考えられなかった。
ノックをして、返事がないのでまたノックをする。
出てきて欲しいような出てきて欲しくないような、そんな複雑な気持ちのまま溶けるアイスに急かされて何度も何度もノックをしていると、寝ぼけ眼で扉を開いたAの目が僅かに見開かれたのを見てパニックになった。
｢アイス｣
｢え？｣
｢食べたいんだろ｣
そんな脈絡も何もない言葉しか出てこない。
きょとんと俺を見るAの顔がまともに見れない。
｢……なんでユンギさんが？｣とぽやんとした言葉が投げかけられるなり、後ろからサンハ兄さんの｢ユンギの奢りだってよ｣という言葉が飛んでくる。
助かった、と思ってしまった。
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ムルーア(プロフ) - 初めまして💜一気に読んじゃう程話に吸い込まれて胸がギュッとしました😭素敵な作品ありがとうございます🥰 (6月21日 20時) (
レス) id: e97b81299d (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - めーぷるさん» ありがとうございますー！私も雰囲気は気に入ってるので嬉しいです……！ (2019年6月30日 16時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
めーぷる(プロフ) - 大好きです、この作品 (2019年6月25日 14時) (レス) id: eb55ea3859 (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - りおさん» ありがとうございます！ 結構淡々とした話だったので、楽しく読んでいただけて嬉しいです！ (2019年6月24日 13時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
りお - とーーーっても面白くて、どんどん読み進めちゃいました！ (2019年6月22日 2時) (レス) id: 189551a3bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sai
| 作者ホームページ：https://twitter.com/xxx___sai/
作成日時：2019年5月1日 16時
