〈yoongi〉WHITE… (ページ10)

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ユンギさんは手際がいい。

さらさらと動く手さばきに私はついつい目を奪われた。

簡単に作ろうとした夕食はパスタとサラダとちょっとした炒め物と段々豪勢になっていく。

私が簡単なトマトのパスタを作っているうちに、ユンギさんは野菜を刻んでいく。

｢普段料理するんですか？｣
｢時々？｣

なんで疑問形なんだろう。

｢あーめっちゃいい匂いしてきた｣

私の作るトマトソースを覗き込んでそうユンギさんが言うので、私は近くなった距離にドキッとする。

芸能人ともあって肌はつるつるしてるしいい香りはするし、なんかとにかくドキドキさせるのだ。

なんでもないフリをしながら、スプーンでソースを一口掬って味見する。

美味しくできた。

そう思って安心していると、じっとこちらを見るユンギさんが居て。

｢お塩……このくらいでいいですか？｣

ササッとスプーンを拭って咄嗟にソースを掬うと、ユンギさんはそっと私の手に手を重ねてスプーンを口に含んだ。

まるでなんでもないようにユンギさんがした行動に私は驚く。ずっとずっと近くなった距離と唇と手と指と……

｢ど、どうですか｣

声がひっくり返る。ユンギさんは｢少し濃いくらいがいいだろ｣とだけ言って頷いた。

そうこうしているうちに夕食が完成して、兄は未だ帰らぬままユンギさんと二人でテーブルを囲むことになった。

ちょっと萎れかけだったレタスはユンギさんの手によって立派なサラダになっていたし、トマトは意外にも綺麗なくし切りにされている。

味付けはシンプルに塩と胡椒とオリーブオイル。

そして私の作ったトマトパスタとユンギさんの炒め物。

そしてテーブルを挟んで向かい合って座る私とユンギさん。

｢いただきます！｣
｢……いただきます｣

何故かかしこまって挨拶をする私達は、おずおずと料理に手を伸ばした。

｢こんなにちゃんとした夕食作ったの久しぶりです｣
｢あー俺も｣

トマトを頬張りながら、どこか柔らかい声音でそう言うユンギさんに私は思わず笑いかける。

二人で料理したのはなんだか楽しかった。

この間知り合った人の筈なのに、ユンギさんとは波長が合うのだろうか。私の勘違いでなければいい。

｢ユンギさんいつも料理してる人みたい｣
｢いや、マジでそんなことない｣
｢そうなんですか？｣
｢普段はまあ……そこそこ忙しくしてるし｣

あ、そうか。ユンギさんはBTSだった。