〈yoongi〉WHITE… (ページ8)

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歌手になりたかった。

というよりも、音楽をして生きていきたかった。

アイドル候補生として練習したけれど、影で顔のことを言われているのは知っていた。

だから整形もしたけど、徒労に終わった。

辞めてしまおうと事務所に申し出たら、私の作った曲を盗まれて、同期のデビュー曲として使われてしまった。

親友だと思っていた子が作曲したと……

そこまで思い返して、私は悔しさに唇を噛んだ。

もう数年前の出来事なのになんにも受け入れられてはいなかった。

それを思い出したのは良くも悪くもユンギさんと話したからだろう。

スマホを触ると画面が明るくなる。

すっかり眠れなくなってしまった頭で、ふとユンギさんの音楽が聞きたくなった。

ミンユンギ。SUGA。AgustD。様々な名前を持つ華やかなアーティスト。そしてアイドル。

検索して出てきた曲をとりあえずタップする。

イヤホンをして目を閉じると、美しくてどこか痛々しさも感じさせるユンギさんの声が聞こえてきた。

――こんな歌を歌うんだ。

私はなんだか涙が出てきた。

ユンギさんの作る曲は綺麗で完成された音の粒なのに、紡ぐ歌詞はどうしようもなく痛々しく血を吐くような腥さがある。

生きていることの辛さとか苦しさとかが混じりあって、溶けずに残る錆のような苦味が何処までもまとわりつく。

そして何よりユンギさんは正直だった。飾らない言葉の数々が私の胸を突いた。

音楽に真っ直ぐすぎて、私には聴いているのが辛くなるほどに。

――曲、完成しました

私は心のどこかにぽっかりと穴を開けられたような気分のまま、朝が早いことも寝ていないことも何もかも忘れて、一言だけユンギさんにカトクを送った。

ユンギさんのような曲を作る人に自分の曲がどんな風に聴こえるのか、その答えを聞くのがどこか怖いとさえ感じながら。