〈yoongi〉WHITE… (ページ49)

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｢――A？｣

｢……ユンギさん｣

｢……どこにいるんだ？もしかして、外なのか？｣

｢それ答えたら、ユンギさん来ちゃうでしょ｣

｢……当たり前だろ｣

｢だから、言えないよ｣

｢っ……馬鹿か、心配してんだよ！｣

電話越しにユンギさんが叫ぶ。

その後ろで車のエンジン音が聞こえて、ユンギさんも外に居るのだと知った。

きっと、私を探している。

｢迷惑かけたくない……重荷になりたくないの。そんな自分になりそうで嫌なの｣

｢……お前が辛い思いをしてるのが分かってて、俺がそんなお前の傍に居たいと思ってても？｣

ユンギさんは泣きそうな、それでいてとても怒っているような、寂しいような苦しいような声で静かにそう言った。

｢もし、お前が今俺を必要としてないなら、行かないよ。でも、お前が今辛いって一言言えば俺は行く」

｢でも、一回でも頷いたら、私はまた我儘を言っちゃう。ユンギさんを独り占めしたくなっちゃう。そんな事したくないの、ユンギさんの夢の邪魔になんかなりたくない｣

｢それは俺を今必要としてるってことだろ｣

私は黙った。迷いがぐるぐると頭の中に渦巻いていた。

踏み込むべきか踏み込まざるべきか――そういえばユンギさんとはこんなやりとりを繰り返し続けてばかりだ。

グラグラと揺れるシーソーゲームのようなやりとり。

私から降りるべきなのだろう。ユンギさんの為を思うなら。ユンギさんの夢を叶える為に、私はきっと邪魔な存在になる。

｢――好きなんだ｣

｢Aが泣いてるのに傍にいてやれないのが辛いんだよ」

掠れた声が耳を擽って、私はぼろぼろと涙を零しながら唇を噛んだ。

この言葉を言ってしまったら、本当に私の何もかも全てが変わる。止めていた時間が戻って辛い現実に還る。

もし、ユンギさんを受け入れてしまったら、全ての辛いことを目の当たりにしなければならなくなる。

でも、今この時だけは、目の前の幸せを掴んでもいいのだろうか。