〈yoongi〉WHITE… (ページ44)

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散々嫌な気分になって暗い気持ちのまま家に帰ると部屋中が暗くて驚いた。

バイト中に連絡した時は兄が居ると伝えられていたのに……

しんとした部屋に鍵を置いて明かりをつけると、飲みかけのコーヒーと灰皿と燃え尽きているタバコが一本。

まるで今まで兄がここに居たかのような形跡に首を傾げる。

｢お兄ちゃん？｣

なんだか不穏な気配がして、兄の作業室であるリビングへと向かうが、暗いその部屋にも兄の姿はない。

無くなっているのは兄のお気に入りであるジャケットとスマホと家の鍵。

忘れて行ったのであろうタバコとライターがベッドに散らばっている。

電話をかける。ワンコール、ツーコール。

数えだして六回を越えたところで私は電話を切った。出る気配もない。

引っ掛かりを覚えながらもキッチンへと戻り、インスタントコーヒーを淹れる。

一口啜りながらスマホを開いた。

芸能ニュースがBTSの活躍を伝えていた。

ユンギさんはがんばってるなあなんて、沈みかけた気持ちを少しだけ慰めていると

｢……え？｣

芸能ニュースサイトのトピックスにあるのは今見ていたBTSの華やかな記事。

そして二番目のニュースには兄のものである作曲グループに盗作疑惑がかけられているという見出しが大々的に取り上げられていた。

突然手に持っていたスマホが震える。

着信画面には兄の名前が映っていて、慌てて応答をタップした。

｢A｣

｢お兄ちゃん？何が起こってるの？｣

ニュースのことを知っていると暗に兄に伝えると、兄は心底困りきったような声で低く唸る。

――盗作。

その言葉に心の底が冷える。

一瞬にしてフラッシュバックしたのは数年前の自分の惨めな姿。