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ユンギさんが私の絵を買う？
｢まだ何描くかも決まってないですよ？｣
｢でも、興味ある｣
躊躇いまくる私と対象的なさっぱりとした返事になんと答えていいか返事に困った。
｢多分……展示会の後は売りに出しますけど……｣
｢じゃあ、それ、俺が貰うわ｣
｢見てもないのに？｣
｢ああ｣
まるでもう決定事項であるかのように言われて、私はとうとう言葉に詰まった。
｢えっと、大きさとかは？｣
｢別になんでもいい｣
｢入れたいモチーフとか……｣
｢それも好きにしていい｣
｢……ほんとに？｣
｢ほんとに｣
ユンギさんはそう答えて電話越しに少し笑ったような気がした。
｢お前が見ている世界みたいなものを描いてくれれば、それでいい｣
｢ユンギさん、今すごく難しいことを言ってるの分かります？｣
私が困りすぎて返した言葉に、ユンギさんは笑った。
｢帰ってからの楽しみが出来たな｣
｢……強引｣
｢ははっ｣
勝手に買い手が決まってしまった絵。
スランプだという言葉をユンギさんは忘れてしまっていた。
ある意味このスランプはユンギさんのせいでもあるのに。
｢真っ白でも知らないですよ？｣
｢いいよ、それがお前の作品なら｣
揺らがない返事に私はとうとう諦めた。
｢出来たら連絡します｣
｢おー｣
｢……そろそろ切りますね｣
｢うん、おやすみ｣
低い気だるげな声で言われたおやすみに胸がざわついた。
｢……おやすみなさい｣
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作者名：sai
| 作者ホームページ：https://twitter.com/xxx___sai/
作成日時：2019年4月26日 2時
