〈yoongi〉WHITE… (ページ20)

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ユンギさんにはそれからアイスごちそうさまでしたというメッセージと共に兄とアイスの写真を送った。

すると、ユンギさんからその夜の深夜に｢ああ、おやすみ｣という返事が来て、それっきりだった。

｢最近ユンギさん来ないね｣

ぽつんとそう兄に漏らすと、兄は作業机から視線を外さないまま

｢ツアーに集中するんだと｣

と短く返ってきたので、私は黙った。

兄は兄で楽曲提供したグループが評価され、色んな事務所から少しづつ依頼をされることも増えてきて忙しいらしい。

変わらない生活をしているのは私だけのようだった。

時計を見るとそろそろバイトに向かわなければいけない。

私はジャケットと鞄を掴むと、マグカップに残ったコーヒーを口に含んで玄関へと向かった。

バイト先のカフェは最近SNSで有名になってきたらしく、平日の昼なのに満席になることも多い。

オーダー表を見ながらコーヒーを作るのは、もう考え事の合間に出来るようになってしまった。

変化のない平坦な生活。

カウンターのすぐ近くの席では自分よりも少しだけ若い女の子達がスマホを片手に話をしていた。

｢昨日のVliveで……｣
｢テテが……｣

なんとなく聞こえてくる言葉がユンギさんの居るBTSの事であると気がついて、私はチラリと視線を向ける。

そしてなんだか寂しくなる。

自分の今の生活は、自分で選んだものであるはずなのに、どうしてこんな劣等感を感じるのだろうか。

答えは自分で分かっている。

音楽で生きていきたいと思っていた過去と決別が出来ていないのだ。

ユンギさんの曲を聴くと、どうしても自分の今のことを考える。

諦めることも諦めないこともどちらも苦しいのなら、どうして諦めない苦しさを選べなかったのだろう。