〈yoongi〉WHITE… (ページ17)

今日:1 hit、昨日:30 hit、合計:107,673 hit

17. ページ17

.

数日経つとあの日の夜の出来事は夢なんじゃないかと思った。

作業の合間に聴くBTSの曲から聴こえる声を何度も何度もリピートする。

優しい語りかけるような声もあれば、まるで怒号のような激しいラップまで。

たった二回だけ会った人なのに、好きになるなんておかしいだろうか。

緩く絡まった指の感覚を思い出しながら、どこか熱を孕んだ吐息を落とす。

ユンギさんはどんな気持ちなんだろう。

意味深に触れられた肌の一部が熱い。

ユンギさんの作る曲に込められた言葉を聞くと、まるでユンギさんの人生を知ったような気分になる。

すっかり止まってしまった作業の手を止めて時計を見ると、何も進まないまま一時間は過ぎていた。

まだ兄は家に帰ってきていない。

コンビニに寄ってきてくれるだろうか。

そんな事を考えて、アイス買ってきてとだけメッセージを送る。

スマホを作業机に置いて、私は机に突っ伏した。

そのままうとうととした眠気がやってきて、気がつくと浅い眠の中に落ちていた。

――コンコン

何度目か分からないノックの音にはっと目が覚める。

パッと時計を見ると時刻は最後に時計を見てから一時間半は経っていた。

兄にしては控えめで遠慮がちなノックの音だったが、飛び起きた私は大して疑いもせずにドアノブに手をかける。

扉を引くと、そこに居たのは兄ではなくユンギさんで……

｢アイス｣
｢えっ？｣
｢食べたいんだろ｣

ずいっと突き出されたのはアイスが四つは入っているであろうか、ずっしりと重たいコンビニのビニール袋で。

｢……なんでユンギさんが？｣

私がそう問うと、ユンギさんは何故か気まずそうに視線を足元に落とした。

暫くぎこちない沈黙が広がると、玄関から兄のものであろう足音が響いた。

｢ユンギのおごりだってよ｣と言いながら兄がチョコアイスバーを齧るので、もしかしてビニールいっぱいのアイスは全部私のものなのだろうか、なんて憶測をしてしまう。

黙ったままのユンギさんに、よく分からないままに｢ありがとうございます｣と言うと、ユンギさんはああともおおとも聞き取れる微妙な返答だけを寄越した。