〈yoongi〉WHITE… (ページ1)

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この幾何学の模様が音になると美しい調和を生み出すのだから、音楽は面白い。

漣のような模様をぼんやりと眺め、マウスをクリックするとヘッドホンから音の波が鼓膜を揺さぶる。

エレキギターのリフにエレキベースを乗せる。

低く響くビートにドラムのリズムを重ね、最後はシンセサイザーでキラキラとさせると、私は音程を半音上げたり下げたりしながら目を閉じて、そして溜息をついた。

――ちょっと休憩しよう

録音したギターのアルペジオをどんなエフェクターにかけようか、という次の作業はコーヒーでも飲んでから考えよう。

テンポを上げてもいいかもしれない。

そんなことをぼやぼやと考えながら個室を出てキッチンへ向かうと、キッチンの右横にあるリビング兼兄の部屋から腹の底を突くような低いビートが響いてくる。

そして合間合間に兄と兄以外の男の人の声が聞こえて、私はいつの間にか来客があったことを知った。

キッチンへ向かい気紛れにペーパードリップでコーヒーを淹れていると、リビングからドアの開く音が聞こえて、思わず目を向けた。

｢……こんにちは｣

咄嗟に答えたのは私の方だった。

視線の先に居たのはひょろっとした体躯と明らかに音楽関係者であろうその派手な色の髪。

チリチリと揺れるピアス。

そしてどこか鬱屈そうな目をした男の人で。

｢ちわ｣
｢あの、飲みます？コーヒー｣

私がそう言って手に持ったヤカンを少し持ち上げると、彼は遠慮がちに｢いいんですか？｣と呟くように言って

｢じゃあ、いただきます｣

と聞こえるか聞こえないか分からないくらいの声音でそう続けた。