59.制服デート ページ11
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｢な……ど……手……｣
言葉が上手く出てこない。
｢追いついてない追いついてない｣
｢だって……！｣
｢行先言ったら、Aが躊躇うだろ｣
どっかりと椅子に座ってメニューを一瞥しながらジョングクはしれっとそう言う。
ぱくぱくと口を動かしたけど、結局諦めて私はそっと椅子に座った。するりと手が離れる。
確かにジョングクの言う通り。今の私がデートに行こうだなんて言われてたら、多分逃げてたと思う。
｢……だって、急なんだもん。全部｣
｢急だと思ってるのはAだけ｣
テーブルに置かれた水を一口含みつつ、ジョングクは私に目配せをした。
居心地が悪くなって、私は水を持ちつつテーブルを見つめる。メニューにはカフェタイムの可愛いケーキセットのイラストがある。
｢で、何食べたいの？｣
｢……このケーキ。あとカフェモカ｣
｢わかった｣
すらすらとオーダーを言って私に向き直ったジョングクは、身を乗り出して私の顔を覗き込む。
｢念の為言っとくけど、好きっていうのは恋人としてデートとかしたいっていう意味だから｣
｢う、うん……｣
｢本気だし、誤魔化そうとしたら流石に怒る｣
｢うっ……｣
先に言おうとしていたことは先回りで封じられてしまった。
恋人。デート。ジョングクと。
急に展開する事態と恥ずかしさと、得体の知れない恐怖感に私はおろおろとすることしか出来ない。
ジョングクの余裕そうな顔もなんだか癪に障る。私はこんなにも追い詰められているのに。
｢俺の事好き？ 嫌い？｣
｢き、嫌いじゃない｣
｢……まあ、嫌いじゃないならいいよ｣
あっさりとそう返したジョングク。まるで別人みたいだとも思う。
｢どうしてジョングクはそんなに余裕なの？｣
｢余裕に見える？｣
｢うん｣
そう、と返事が返ってきて、沈黙が広がった。
｢……ジョングクは変わっちゃうのが怖くないの？｣
私はそんなことを聞いた。
ジョングクに好きだと言われて真っ先に思ったのが、日常が変化するのが怖いという一言だった。
きっとジョングクは真剣だ。そうじゃなきゃ、冗談でもこんなことは言わない。
私はジョングクのことは嫌いじゃない。でも、どこかそれ以上考えないように必死で誤魔化しているのは、私たちの変化によって何か、見えてる世界が変わっちゃうことが怖いから。
みんなからの目も、おばあちゃんからの目も、私から見るジョングクも、ジョングクから見た私も。
今の感じが心地よすぎて、余計なことを考えてしまう。
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おけ(プロフ) - ここまで1日で読みました‼︎このお話大好きです！応援してます！ (2022年2月8日 23時) (
レス) @page40 id: a8986157d1 (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - はるさん» ありがとうございます〜！デビュー当時辺りを想像して書いてました 楽しんでもらえて良かったです！また気が向いたら続きも書くので、よろしくお願いします^^* (2020年2月7日 9時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
はる - ひゃ〜〜この作品は大好きで何度も読み直しているので、新しいお話嬉しかったです！なんとも守ってあげたくなるまだまだあやふやなグク、、主人公ちゃんと出会って、お互いを好きになれて本当に良かったなと思いました！これからも応援しております！ (2020年1月29日 2時) (レス) id: 75eff8e160 (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - じみちむさん» ありがとうございます´`* ちょいちょい書き足していきますので、また読んでください〜！ (2019年8月29日 22時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
じみちむ(プロフ) - 番外編も最高でした♪( ´▽｀) (2019年8月26日 17時) (レス) id: f91208f58d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sai
| 作者ホームページ：https://twitter.com/xxx___sai/
作成日時：2019年6月9日 16時
