乗り越しラブストーリー ２ 【赤】

☆68 ページ28

これがAの本音やったんや


そう思うと改めて胸が苦しくなる


再開した時見せてくれたあの表情、酔っ払ってた時に支えてくれてたあの笑顔


………望と付き合ってるって報告された時の、少し悲しそうな顔





全部全部もしかしたらって、もしかしたらAも同じ気持ちでいてくれるんちゃうかって、


期待してた自分がおったからこそ、余計にもぬけの殻





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「………ははっ、………重荷、か」





.





高校生の恋ってやっぱりそんなもんなんや


今までAを想って、誰とも付き合わん、誰も好きにならんかったのに…


Aは平気で望と付き合った





単なる片想いやったんや





5年も前の恋に期待して、苦しんで、ましてや入院までしちゃってさ


俺ってほんま………情けない





………情けなさすぎやろ





.





" ガシャーーーーーーーーーーーーーーーーンッ "





.





ぁーあ、流星が持ってきてくれた花瓶、割ってまった


まあ、酒で潰れただけやからすぐ退院やし別にええやろ





何のために東京来たん？俺





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神ちゃんがわざわざ譲ってくれた東京行きの切符


一番に応援してくれた淳太





大阪帰ったところで誰にも合わす顔があらへん





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…ァア！！！！もう！！！





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.






" コンコンっ "





部屋のドアのノック音が聞こえたけど、今はそんなのどうでもええ


花瓶が割れて布団が散乱してる部屋なんてむしろ入れたない





" コンコンっ、「しげ兄ちゃーーーん！」 "





外から聞こえる可愛らしい子供の声





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「………大吾か？」





俺の病室は小児科の病室と近くて今朝、病院内をフラフラ散歩してたら、元気良くぶつかって来た男の子が、大吾だった


元気に走り回るし、どこから見ても普通なのに突然苦しくなって倒れるって自分で言っとった





.





「………大吾、どしたん？」





ゆっくりドアを開けると、絵本を片手に涙目で俺を見上げる





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「………しげ兄ちゃんもっ、……泣いてるん？」





「………も？」





.





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「……しげ兄ちゃんになっ、絵本読んでもらおうと思って来たんやけど……」


「さっきドアの前でお姉ちゃんが泣いとった……」





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「………お姉ちゃん？」





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「……うんっ、…何で泣いてるの？って聞いたらね、」





「………だいきくんのこと、よろしくねって言われた」





「…だいきくんって、…しげ兄ちゃん？」

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