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「Aが俺たちに会いに来てくれなくなることが一番嫌なのに、会いたくないって思わせるようなことしちゃった自覚はあるからさ。あの時のあの子みたいに、もう会えなくなっちゃったらどうしようって、」
「Aさんは嘘はつかへんよ。考えがまとまったらきっと会いに来てくれるって。」
「そう、だよね。」
「それに、せっかくAさんが来てくれた時になるせがそんな顔してたら、それこそAさん悲しむと思うけどな。」
「…そうね、」
こちらからは鳥居の外の世界は見えない。白いモヤがかかった鳥居の外を、ただぼんやりと眺めるなるせの隣に腰掛ける。
あの日以来だるまも口数が減り、俺たち三人が集まることも少なくなった。食事や睡眠もなあなあになり、彼女と出会う前の生活に戻りつつある。
「……お前ら、こんなとこおったん」
「Aのこと待ってんの。だるまも待つ?」
「あー…まだ来やんのちゃうかな。そんなすぐ答え出やんやろ」
「……そっか」
「なるせ、部屋戻ろ?たまにはゆっくり寝てみたら?」
「ふとん、」
「ん?」
「もう、Aの匂いなくなっちゃったもん。寝たくない」
「はぁ?きも」
「…うるせ、落ち着くんだもんAの匂い。」
「まぁ気持ちはわからんでもないけど」
「はぁ…はやくあいたいな、」
未だ動く様子のないなるせの手を取り立ち上がらせる。気だるそうに立ち上がったなるせを挟むように鳥居に背を向け歩き出したと同時に、ぱっとなるせが振り返った。
『…ひさしぶり、』
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yura(プロフ) - くくくさん» 最後までお読み頂きありがとうございました…!別作品も楽しんで頂けましたら幸いです! (3月4日 21時) (レス) id: 5f689998c0 (このIDを非表示/違反報告)
くくく - 泣いちゃいました…次回作楽しみにしてます (2月29日 15時) (レス) id: 9c08b4fe18 (このIDを非表示/違反報告)
yura(プロフ) - をわさん» 最後までお付き合い頂きありがとうございました!次回作もよろしくお願いいたします…! (10月6日 14時) (レス) id: 5f689998c0 (このIDを非表示/違反報告)
をわ(プロフ) - お疲れ様でした!!リアルタイムでこの作品を追いかけることができて幸せでした!次作も楽しみにしております…!! (10月5日 1時) (レス) @page50 id: ab4027dd5b (このIDを非表示/違反報告)
yura(プロフ) - をわさん» そう言っていただけて嬉しいです…!完結までお付き合い頂けると嬉しいです◎ (8月23日 22時) (レス) id: 5f689998c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:yura | 作成日時:2023年6月4日 13時