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彼の言葉に、耐えきれず涙が溢れる。
拭う気力も無く、暗い地面に落ちていくのもそのままに、子供のようにぐずぐずと鼻をすする。わたしをぐっと力強く抱き締めただるまさんは、あやす様に頭を撫でた。
「…もう、頑張らんでもええんちゃう?」
『でも、っ、はたらかないと、』
「Aは真面目やなぁ。ええやん、俺にお願いしてや。Aのお願いごとやったら、なんでも叶えたるで。」
例えば、会社爆発させるとか?
そう言った彼の声に、一切の冗談を感じなかった。恐る恐る見た彼の金色の目は、ギラギラとしていてぞわりと背中が粟立つ。
ここでもし、わたしが頷いたら───
「ま、そこまでやなくてもちょっと休みにさせるくらいやったらええやろ?」
『いいのかな…』
「今までずっと頑張ってたやん。ちょっとくらい休んでもバチ当たらんって。大丈夫、俺に任せろ」
彼がそう言った瞬間、強い風が吹く。よろけそうになった体をしっかりと抱き締めただるまさんの顔はよく見えない。
「よし、神社帰ろか。」
『じんじゃ、』
「ありさかもなるせもめっちゃ心配しとったから、久しぶりに顔見せたって」
だるまさんに手を引かれて、フラフラとした足取りで神社までの道のりを歩く。先程までの憂鬱な気分は少し減り、久しぶりに会える友人の顔を思い浮かべていた。
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yura(プロフ) - くくくさん» 最後までお読み頂きありがとうございました…!別作品も楽しんで頂けましたら幸いです! (3月4日 21時) (レス) id: 5f689998c0 (このIDを非表示/違反報告)
くくく - 泣いちゃいました…次回作楽しみにしてます (2月29日 15時) (レス) id: 9c08b4fe18 (このIDを非表示/違反報告)
yura(プロフ) - をわさん» 最後までお付き合い頂きありがとうございました!次回作もよろしくお願いいたします…! (10月6日 14時) (レス) id: 5f689998c0 (このIDを非表示/違反報告)
をわ(プロフ) - お疲れ様でした!!リアルタイムでこの作品を追いかけることができて幸せでした!次作も楽しみにしております…!! (10月5日 1時) (レス) @page50 id: ab4027dd5b (このIDを非表示/違反報告)
yura(プロフ) - をわさん» そう言っていただけて嬉しいです…!完結までお付き合い頂けると嬉しいです◎ (8月23日 22時) (レス) id: 5f689998c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:yura | 作成日時:2023年6月4日 13時