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「初めて会った日のAはさ、消えちゃいそうで不安定だったけど…今は俺らの前でもたくさん笑って、素で接してくれてるんだなってわかってすごい嬉しい。」
『そうやって過ごせるのも、なるせさんたちのおかげだよ。ありがとね』
「どーいたしまして。よし、そろそろ戻るか」
手は握ったまま、先程よりもゆったりとしたペースで拝殿に向かって歩く。煌々と光り揺らめく提灯も、初めて見た時はあんなに不気味だったのに今ではすっかり見慣れて安心感さえある。
「ねぇ、」
『なぁに?』
「いひひ、なぁんにも!」
『え〜?』
「早くお布団敷いて一緒に寝よ〜」
『あはは、そうだね。そうしよっか』
広間に戻ると、ありさかさんとだるまさんも寝支度を整えていて、布団が4枚敷いてあった。ぐいぐいとなるせさんに手を引かれ一番端の布団に入ると、そのまま同じ布団に潜り込んで来た。
「はぁ!?お前なにしてんねん!」
「一緒に寝るって約束したもーん」
「いやせめて隣の布団やろ…」
『なるせさん掛け布団ひっぱらないで…寒い…』
「Aも何普通に寝ようとしてんの?あかんって、なぁ!」
ぎゅうっとくっついてきたなるせさんの体温が心地よくて、うとうとと微睡む。未だ言い合いを続ける3人の騒がしい話し声すら、今の私には子守唄のように聞こえる。優しく頭を撫でられた感触を最後に、わたしはゆっくりと意識を落とした。
「A寝ちゃった」
「…なるせ」
「ん?」
「お前、変なこと考えてへんやろな」
「え〜?だるま遅めの思春期?」
「あほ、そうじゃなくてお前、Aのこと隠すつもりか?」
「だぁいじょうぶ、しないよ。
本人が望んでない内は。お前らだってそうだろ?」
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yura(プロフ) - くくくさん» 最後までお読み頂きありがとうございました…!別作品も楽しんで頂けましたら幸いです! (3月4日 21時) (レス) id: 5f689998c0 (このIDを非表示/違反報告)
くくく - 泣いちゃいました…次回作楽しみにしてます (2月29日 15時) (レス) id: 9c08b4fe18 (このIDを非表示/違反報告)
yura(プロフ) - をわさん» 最後までお付き合い頂きありがとうございました!次回作もよろしくお願いいたします…! (10月6日 14時) (レス) id: 5f689998c0 (このIDを非表示/違反報告)
をわ(プロフ) - お疲れ様でした!!リアルタイムでこの作品を追いかけることができて幸せでした!次作も楽しみにしております…!! (10月5日 1時) (レス) @page50 id: ab4027dd5b (このIDを非表示/違反報告)
yura(プロフ) - をわさん» そう言っていただけて嬉しいです…!完結までお付き合い頂けると嬉しいです◎ (8月23日 22時) (レス) id: 5f689998c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:yura | 作成日時:2023年6月4日 13時