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#3 ページ3









げんの胸板にもたれていたら、ちょっとさみしかった心が温まって、改めて顔を上げてみる。
なんか無性に目の前の喉仏にちゅーしたくなって、そっと触れてから、首筋に顔を埋めてげんの匂いを吸いこんだ。


「Aちゃんどうしたの〜」


げんはもうわたしが何も隠してないってわかってるから、笑い混じりに聞いてくる。


『えへへ』


なんて、最大級に緩んだ顔でふにゃんと笑ってみせれば、げんもおんなじ顔で笑ってくれるんだ。
げんが座るから、わたしも座ろうとしたらげんの胡座の上に割座で乗っかるように引き寄せられる。
さっきより近づいた距離が純粋にうれしくて、げんに抱きついて、胸板にあたまをぐりぐり押し付ける。


「なーに、Aちゃん赤ちゃんスイッチ入っちゃったの?」

『せめて甘えん坊って言ってよ〜』


げんが、そっか、赤ちゃんにしてはでっかいもんな!とか言うから、ぎゅーする力を強めてみる。


『赤ちゃんじゃなくってさ、げんのいちばんの女の子でいさせてよ』


げんがお友だちや仲間を大切にする人なのはわかってるし、お仕事もあるし、げんの「いちばん」にはなれなくてもいいかな、仕方ないかな、って思う。
でも、げんの「いちばんの女の子」でいさせてほしいな、って、何だか今この瞬間が幸せすぎて、そんなことを思った。


「伝わってない?おれのいちばんの女の子は、ちゃーんとAちゃんだよ。Aが、ぶっちぎりの優勝!」

『やったー!』

「だから、誰にも言えないようなこと、悩んでることとか、迷ってることとか、そういうことはおれに話してね?んで、おれも、誰にも言えないような弱音とか、Aにだけ、話していい?」


げん、ばかそうに見えて、ちゃーんと周りを見てるんだって、知ってるけど、知ってたけど。


『わかってるよ!げんにだけは話せるし、げんのお話も聞きたい。聞かせてね?』

「任せて!じゃあまず、おれから相談していい?あのね、」


げんの腕が背中と後頭部にまわるのを感じる。
げんの手、あったかくてちょっとごつごつしてる、男の子の手って感じで好き。
そのままぎゅーってされて、耳元で、少し掠れた声がした。









おれ、いまこの瞬間がしあわせすぎて、しんじゃいそうなの。どうしたらいい?







#fin

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作者名:しゃんぱんはにー | 作成日時:2019年8月28日 2時

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