White Dream Story -2-

リーダーの呪縛（深澤/岩本）⭐︎リクエスト作品⭐︎ ページ41

《岩本side》


リーダーになりたくてなったわけではない。
いつの間にかなっていたって言ったほうが正しい。
誰だって1番年上が引っ張るべきだと思うよな。
今の俺は特に‥‥


3人が加入してくれて、グループが大きくなって、知名度を上げて、そしてデビューした。
デビューするまではリーダーという肩書きに、なにかを思うことはなかった。
でもデビュー後は、やっぱり責任が違うわけで、


「この後岩本さんだけ残ってください。」

「岩本っ！リーダーだろっ⁈しっかりしろっ！」

「これ、みんなに伝えといてくださいねー。」


理不尽に怒られたり、注意されたりすることも増え、小さな違和感がだんだん大きくなって、今では『リーダー』という言葉が重く感じるようになった。


辰「照？」


ふいに声を掛けられる。
今は確か打ち合わせ中‥‥
どうやら俺はぼーっとしてたらしい。


照「あっ‥‥すみません。」

ス「大丈夫ですか？頼みますよリーダー！」


ズキッ


その言葉に胃のあたりが痛くなるのを感じる。
スタッフさんは悪気があったわけではないのは分かっている。
頭では分かっているのに、心と体が追いつかない‥‥


注意されたのはその1回だけで、その後は何事もなく打ち合わせは終わった。
無事に終われたことにホッと肩を撫で下ろす。


辰「なぁ、照。」

照「なぁに？」

辰「この後飯でも行かね？」


ご飯かぁ‥‥
正直全く食欲はない。
それなのに行くなんて、ふっかに失礼過ぎるだろ。


照「悪い、今日はやめとく。」

辰「おっけ。お前、無理すんなよ？」

照「？」


正直、何のことを言われているのか分からなかった。
だって、俺自身無理してるなんて感じてなかったし、思ってもいなかったから。


きっと、このとき気づいていれば、俺はあんなに痛い思いをしなくて良かったのかもしれない。
俺たちはそのまま別れて家路についた。

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