White Dream Story -2-

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《佐久間side》


ラウールがトイレに行ってから数分。
もうそろそろら帰ってきてもいいはずなんだけど‥‥


大「ねぇ、ラウール遅くない？」

翔「迷ってんじゃね？」

大「翔太じゃあるまいし‥‥」

翔「何でだよっ！」


冗談はさておき‥‥
マジで迷ってんのかなぁ？


大「俺ちょっと見てくるわ！」

翔「おう。」


そう言って席を立つ。
トイレまで少し遠いけど、迷う程複雑ではないと思うんだけどなぁ‥‥


トイレ前に着いたが、ラウールの姿は見当たらない。
中も人が居る気配はない。


大「ラウールー？」


俺の声が響くだけで、返事はない。
これってもしかして‥‥


大「逃げられたぁ⁈」


俺は急いで来た道を戻る。
もう病院内だからって油断してた‥‥


翔「あれ？ラウールは？」

大「たぶん逃げられた。」

翔「はぁっ⁈」

大「とりあえず手分けして探そう！
　 俺は入り口まで戻ってみるから、翔太は病院内探して？
　 まだ外には出てないと思うから！」

翔「分かった！」


アイツ、逃げたって予防接種がチャラになるわけじゃないことくらい分かるだろうに‥‥
裏を返せば、それだけ怖くて嫌なんだろうけど。


一般の人より頭１つデカいから、簡単に見つかるかと思ってたんだけど、そう簡単にはいかないらしい。
警備員さんやスタッフさんにも聞いてみたけど、ラウールを見かけた人は居なかった。
てことは、やっぱりまだ病院の中か‥‥




《翔太side》


ラウールのやつ、子どもみたいなことしやがって‥‥
て、こないだまで子どもだったんだよな(笑)
毎年のことだから、いい加減諦めたらいいものの。


佐久間が外に向かって探すのなら、俺は上から順に探すか。
入院病棟には入れないから、この上の階から下に向かって探すことにした。


上の階は小児科と小児病棟。
子どもかぁ‥‥まさかね？


サラッと見渡す程度でいいだろうと思っていたのに、見覚えのある後ろ姿が‥‥
しかも一緒になって遊んでんじゃねーか‥‥
俺は静かに背後から近寄って、


翔「おい。」


と、声を掛けた。
ビクッと体を揺らし、ゆっくりこちらを振り向くラウール。
その表情から察するに、悪いことをしたという自覚はあるようだ。


とりあえず時間が迫っている。
俺はラウールの手を取り、早足で診察室まで戻った。
俺に手を引かれ、終始俯いたままのラウール。
後悔するのは分かるけど、それはまた後でな？

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