White Dream Story -2-

理想と現実の狭間で（？/宮舘） ページ26

《宮舘side》


いつから感じてたのかは分からないが、少しずつ、自分の理想と現実のズレの違和感。
初めはきっと微々たるものだったんだろう。
それが徐々に大きくなり、最近では自分でも、どれが『自分』なのか分からないくらいだ。


自分なりの『アイドル』を目指していたはずなのに、今では『お笑い枠』『三枚目』だとか言われるようになった。
別にそれが悪いことだとは思ってはいないし、むしろ楽しさを感じている程だ。


でも、ふと考えてしまう。
これは、俺がなりたかった『俺』なのかと‥‥


康「舘さんキレッキレやったなぁ！」

辰「今日のMVP間違いなしだなっ！」


バラエティー番組の収録後、メンバーに褒めてもらえて満更でもないんだけど、なんか胸の奥がチクッとする。


照「舘さん？」


何か勘付いたのか、顔を覗き込む照。
俺は何事もなかったかのように、笑顔を貼り付けた。


涼「ん？なにが？」


こういうときは疑問で返すのがいい。
追求され難いからね。


翔「おい。」


ぶっきら棒に俺に声を掛けてくる翔太。
この人に関しては幼馴染だか、何を考えているのか分かるようで分からなかったりするんだよな‥‥


涼「なに？」


言葉数少なく返すと、


翔「お前、ちゃんと言えよ？」


ん？気づかれてる？
そうは思えないんだけど、とりあえずそれとなく応えておく。


涼「何の話？」


そう言って俺は、他のメンバーに話し掛けるように、翔太の傍から離れた。




《渡辺side》


アイツ、またなんか隠してる。
確証はない。
こればっかりは幼馴染の勘とでも言うのだろうか。


怪我とか病気ではなさそうだけど、どことなくいつもの涼太ではない。
仕事中も普通にいつも通りの『舘様』に見えるんだけど、なんか雰囲気が違うんだよ。
照なんかはちょっと気付いてそうだけど、軽く牽制されてた。


翔「おい。」

涼「なに？」

翔「お前、ちゃんと言えよ？」


一瞬動きが止まった。
やっぱり何かある‥‥


涼「何の話？」


そう言って俺から離れてメンバーたちの元へ。
俺では話してくれそうにないと悟る。


仕方ない。
あんまり人に頼りたくないなぁ、と思いながらも俺はスマホを取り出した。

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