配信の裏側に君との内緒事 (ページ7)

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淡雪の内緒事⑥ ページ7

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配信中に配信を始めたきっかけを話すのも何度目か。
固定ファンにはもしかしたらまたかよって思われるかもしれないが、そのくらい大切な思い出でついしゃべってしまうのだ。

けど一応配信者の端くれ、何がリアルに繋がるかもわからないし、もしかしたらガチ恋勢がいるかもしれないことも考えてあまり深くは喋らないようにしている。

「昔話はこの辺にしておいて、もう一戦だけ練習するよ〜」

そう言ってコメント欄から目を離し、マッチボタンを押そうとした時

-A

と、本名がコメント欄で呼ばれたのが目に入った。
人気が少しずつだけど出たとは言え目で追えないほどのチャットの速さではない。
その中で急に本名のみのコメントが流れたら目につくのは当たり前だった。

あ、あれリアルの友達に教えたっけ…？
身バレ？？

そんなふうに焦っていると、コメ欄まで何やら騒がしい

-え？レイドくん？？

-白雪レイドって本物！？

-交流あったっけ？

-前はコメ欄からチャンネル飛べたけど出来なくなったからなりすましかわからない

“白雪レイド”と聞いてFPSをかじっているVtuberで名前がわからない人はいないだろう。

私も名前だけは知っていた。
けど元々は全くゲームもYouTubeも触ってこなかった人間だったし、Vtuberになる前は配信するための準備やネットリテラシーなど…そっちの知識を勉強するのに必死だったし
デビューした後も、毎日配信が楽しみで仕事から帰ってきてはすぐ配信をつけて時間ギリギリまでする生活を送っていたので名前だけの存在であった。

名前一緒だなぁとは思っていたけれど、最近収益化が出来た新人ライバーだし、そもそもゲームが下手な自分とは住む世界が違うと…すっかり“白雪レイド”のことを調べてみるのも忘れていたのだ

「え？こんな場所に有名人いた？？
偽物じゃない？」

正直実名で呼ばれただけに、そんな有名人が来られても大手を振って喜んでいる場合ではなく…

そして違う意味でも気持ちが落ち着かなくなっていた

彼と同じ名前の人が、急に現れて
誰にも私の本名を教えてないのにその名前を呼んだのだ

“見てくれてたらわかるように私が小さい頃から大好きな雪の結晶もつけてるんだ〜”

さっきの自分の言葉が頭の中でこだまする

もし、もし本当に見つけてくれたのなら…？

一旦深呼吸をし、なんとか平常心を取り戻した私は
一戦だけ頑張り早々と配信を閉じたのだった。

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