配信の裏側に君との内緒事 (ページ27)

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淡雪の内緒事②⑥ ページ27

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「よし…」

その日はよく晴れた日で、冬というのに何だかコートも脱ぎたくなる様な暖かい日だった

時刻はお昼前
Aは見慣れぬ玄関の前で軽く深呼吸をして呼吸を整えていた

今日はレイドくんの家に行く約束をしていた土曜日で、Aは昨日は配信もお休みしてせっせと今日持ってくる料理の仕込みをしていた

レイドくんの家にどれだけ調味料や料理道具があるかわからないし、普段の食生活を聞いていると自炊をしている雰囲気はあまりない。
そうなると料理の幅も狭まるし、人様の家で我が物顔で料理するのも気が引ける

それにどうせなら栄養をちゃんと取れて尚且つ日持ちがする常備菜をたくさん用意して、少しでもレイドくんの普段の食生活に色を足してあげたいなぁと気合が入ってしまったのだ

お陰で両手には大きな保冷バックを携えており、その中には冬場だからまだ安心とは言え長時間の移動なので保冷剤をいっぱい詰め込んだせいで、今や腕が悲鳴を上げる一歩手前だった

幸か不幸か、レイドくんが急遽会議があるらしく最寄り駅まで迎えに来れなくなったので、タクシーを使えたのは良かったことだった

“ポストに鍵入れとくから勝手に入ってきて”

とは言われたものの、初めてのお呼ばれでお邪魔するのは緊張する

それに再開したあの日から散々通話はしたが、直接会うのはこれが2度目…

実はあの日あまりにも嬉しくて距離感がバグってた事を謝りたかったんだが、通話越しでは何だか恥ずかしくて言えず今日直接会ってから謝ろうと思っていたのでまだ謝れていないのだ

結果、後回しにしたせいで現在絶賛鍵を開けた状態でドアノブと睨めっこをして早数分が過ぎた

(大丈夫、今レイドくんは会議中で通話してる)

そおっと家に入り1人で待ってる間にまずは家に慣れよう…
そんで少しでも緊張を解いた状態でレイドくんに会えばいいのだ

それにいくら保冷剤を抱かせたとはいえ、人様に振る舞う食材があるのだ

(よし…！)

意を決してAはドアノブをそっと回した

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