配信の裏側に君との内緒事 (ページ16)

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淡雪の内緒事①⑤ ページ16

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「じゃ、帰るわ」

「うん。気をつけてね」

もう始発もとっくに出ている時間

駅まで送ると言ったが断られた
最初は食い下がったのだが、

『これから仕事でしょ。
どうしても諦めないならAが家出る時間まで居座って一緒に家を出る』

なんて言い出すのだ

流石にまだ時間がかかるし
それに夜お風呂に入りそびれたのでシャワーも浴びたい

お世辞にも広くないこの家だとすぐ横でバタバタと支度をしたり化粧をし直さなきゃいけないので、ゆっくり待つことも出来ないだろう

一人暮らし用の1DKで元々空き部屋なんて無かった上に、配信するために大きな机と機材などを入れなきゃならなかったので
寝室はPCデスクとベッドと洋服関係でみっちりで、メイクする場所も何もあとは全てリビングなのだ

レイドくんの気遣いに負けて大人しく玄関までのお見送りとなった

「まあさっき話していた通り今日はよろしくお願いします…」

「…うん。緊張するけど頑張るね！」

「あーい。んじゃ…

いってらっしゃい？」

「…ふふ。行ってきます！」

今から帰るレイドくんがいってらっしゃいと言うのは逆な気がしてなんとなくおかしくて笑ってしまった

またね、と扉をゆっくり閉める

数秒たった後少しずつ遠ざかる足音

一睡もしてないので疲れているはずなのに
今日は仕事頑張れそうと思えた

家族と離れて住み数年
久々のいってらっしゃいという言葉は思ったより心地よく
自分もいい歳になって来たしと同時に少し焦る

「いや！今日は最高の時間から始まったんだからネガティブな感情は置いておこう…！！！」

フルフルとわざとらしく頭を振るうと、先程レイドくんにお願いされた内容を考えながら仕事へ行くための準備をし始めた

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