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これは話さないと帰してくれそうにない、と土方は諦めたように話始めた。
Aの残したビールを飲み、摘みを口に運ぶ。
「ふーん、まぁ、でも良かったね」
大方話を聞き終えた銀時が最初に発した言葉はそれだった。
そっちから聞いといてあんまり興味なさそうじゃねぇか、なんて思ったが、彼の表情を見るとそれが本心であるのが分かり何も言えなくなった。
「…万事屋は何でAを気にかけたんだ?」
「は〜? 元はと言えば土方くんが言い出したんじゃん」
「あ? 何をだ」
「あー… 覚えてねぇのね」
銀時は残りの酒を一気に飲み干すと、遠い記憶を辿りながら話しを始めた。
「俺がAちゃんに始めて会った日、…そうそう刀向けられてさ、お前謝って来たじゃん」
「…嗚呼、そんな事もあったな」
「そん時、お前さ、碌に飯食わないで酒ばっか飲んでさ」
「……」
「挙句寝落ちるから俺が屯所まで運んでやってさ〜」
「…すげぇ掘り返すじゃねぇか、その件は詫び入れただろうが…」
バツの悪そうな土方に銀時は笑う。
「んでさ、そん時のお前、ずっとAのこと話してんの」
銀時はその時のことを思い出して、ふ、と息を零した。
その表情はとても穏やかで普段は見れない彼の顔に土方は何も言わず耳を傾けていた。
「土方が「側で見てないと、死んじまいそうだ」って、いつになく弱気な事言うからさ」
「そんなん、嫌でも気になっちまうじゃん」
「.....でも、生きる意味ならもう見つけたみてぇだし、何も心配いらねぇな」
話しを聞き終えた土方は未だに隣で眠るAに視線を移した。
そっと彼女に触れ、頭を撫でる。
「大切にしろよ」
「言われなくても」
二人は互いにそう言うと再び酒を酌み交わした。
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アカツキ(プロフ) - めぐぽん(*´・∀・)さん» 最後まで読んでくださり有難うございました。めぐぽん様からのコメントとても励みになりました。 (7月2日 22時) (レス) id: d828e70b5b (このIDを非表示/違反報告)
めぐぽん(*´・∀・)(プロフ) - 完結、お疲れ様です!改めて、アカツキさんのお話が好きだと思いました。また楽しみにしてます! (7月2日 12時) (レス) id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - めぐぽん(*´・∀・)さん» 完結の目処は立っていますので更新はコンスタントに行えると思います。最後まで見守って下さると嬉しいです。コメント有難うございます (6月24日 14時) (レス) id: d828e70b5b (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - あさん» はじめまして。コメント有難うございます。かなり前に書き溜めてた作品を軽く手直ししながら載せているので至らない所もあるかもしれませんが、最後まで楽しんで頂ければ幸いです... (6月24日 14時) (レス) id: d828e70b5b (このIDを非表示/違反報告)
めぐぽん(*´・∀・)(プロフ) - 更新ありがとうございます!続きが楽しみです! (6月24日 12時) (レス) @page16 id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アカツキ | 作成日時:2023年6月21日 22時