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万事屋に言われた「ズルい」と言う言葉が頭の中をぐるぐると駆け巡った。
 


そんな事言われなくたって自覚している。
自覚していながら知らない振りをしたのも事実だ。
 




「気付いて無い訳ねぇだろうが」
 




Aの気持ちなんて一番近くで一番長く居たのだから良く分かる。
彼女は感情の起伏は小さいが案外負けず嫌いな所があり、己に似ている所を感じていた。
 



ただ、認めてしまえば今までの関係も、そしてこれからの関係も全て壊れてしまうような気がして怖いのだ。
 




「…俺は自分で思ってたよりもずっと臆病者らしい」
 




小さな声でそう独り言を零し、自嘲気味に笑う。
 


このまま帰る気にもならなくて、携帯を取り出した。
屯所とは逆の方向へ歩き出した土方は夜の街へと消えて行った。
 





.
 




.
 




.
 





朝、良い香りに目を覚ました。
 





『おはようございます、副長』



「おま…、A、何で此処に居る?」
 





此処は屯所から少し離れた、土方の借りている古民家だった。
滅多に帰る事のない此処はたまの休日に来たり、書類に追われ行き詰まった時などの気分転換に使っている。
 





『此処に居ることは昨日連絡頂いてましたので』

「…だからって起こしに来るか? 小姑かよ…」

『副長お一人じゃ、どうせ碌な食事取らないですから』

「余計なお世話だっつの」

 





そうは言っても彼女の作った飯が美味いことは真選組に所属している者であれば誰でも知っている。
目を覚ましてしまう程の食欲を唆る香りには抗えず、グー、と腹の虫が鳴った。
 






『食べますか?』
 



「……おう、」
 






それを聞くとAは再び台所へと姿を消した。


 





---

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アカツキ(プロフ) - めぐぽん(*´・∀・)さん» 最後まで読んでくださり有難うございました。めぐぽん様からのコメントとても励みになりました。 (7月2日 22時) (レス) id: d828e70b5b (このIDを非表示/違反報告)
めぐぽん(*´・∀・)(プロフ) - 完結、お疲れ様です!改めて、アカツキさんのお話が好きだと思いました。また楽しみにしてます! (7月2日 12時) (レス) id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - めぐぽん(*´・∀・)さん» 完結の目処は立っていますので更新はコンスタントに行えると思います。最後まで見守って下さると嬉しいです。コメント有難うございます (6月24日 14時) (レス) id: d828e70b5b (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - あさん» はじめまして。コメント有難うございます。かなり前に書き溜めてた作品を軽く手直ししながら載せているので至らない所もあるかもしれませんが、最後まで楽しんで頂ければ幸いです... (6月24日 14時) (レス) id: d828e70b5b (このIDを非表示/違反報告)
めぐぽん(*´・∀・)(プロフ) - 更新ありがとうございます!続きが楽しみです! (6月24日 12時) (レス) @page16 id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アカツキ | 作成日時:2023年6月21日 22時

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