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結局、土方にも銀時にも、そして近藤さんにも大目玉を食らったAは暫く謹慎処分となり屯所で療養しつつ事務仕事を熟していた。
説教の内容としては「怪我を隠してフラフラと持ち場を離れた事」「無茶をしないという約束を破った事」…主にそれらが挙げられた。
銀時に至っては「もっと素直になれ」と痛いところを突かれて何も言い返す事が出来なかった。
『分かってますよ、』
頭では理解していても、行動に移すのがこんなにも難しいなんて思っていなかったのだ。
筆に含まれた墨がポタリと書類に垂れ落ちて、Aはその紙を丸めて屑籠へと投げ入れた。
「A、良いか」
カコン、と見事にシュートを決めた時、襖から声が聞こえ『はい』と反射的に返答した。
誰かなんて聞かなくてもその声と、薄ら見える影から直ぐ分かる。
『どうしましたか、副長』
「少し、話がある」
Aは持っていた筆を置き、土方の方を向き座り直した。
土方もまたAの正面に座る。
「お前が強いのは良く知ってる」
急にそんな事を言い出すものだから、続きに何を言われるのか不安が過ぎる。
しかしAは黙って話を聞いていた。
「前に”邪魔だから”って討ち入りメンバーから外したが、あれは、本心じゃねぇ」
『……』
「悪かった」
頭を下げる土方にAは思わずギョッとし顔を上げるよう彼の側に寄って促した。
『いきなりどうしたんですか、らしくないです』
「そうかもな」
『…本当にどうしたんですか?』
困ったように眉を下げ、心配そうに顔を覗き込むAに土方もまた、少し言葉に詰まって苦笑いをして見せる。
「俺は、お前に、傷を作ってほしく無ェ…し、守られなくも無い」
「刀なんか捨てちまえとすら思ってる」
その言葉にAは目を大きく開き、反射的に近くに置いてあった自身の刀を握った。
「でも、」
土方の話には続きがあって、Aは口を出す事ができない。
「刀を振るうお前を見てたいし、」
「隣で戦ってほしい」
それはあまりに我儘で、めちゃくちゃな事なのに。
Aは唇を噛んで感情を堪えた。
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アカツキ(プロフ) - めぐぽん(*´・∀・)さん» 最後まで読んでくださり有難うございました。めぐぽん様からのコメントとても励みになりました。 (7月2日 22時) (レス) id: d828e70b5b (このIDを非表示/違反報告)
めぐぽん(*´・∀・)(プロフ) - 完結、お疲れ様です!改めて、アカツキさんのお話が好きだと思いました。また楽しみにしてます! (7月2日 12時) (レス) id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - めぐぽん(*´・∀・)さん» 完結の目処は立っていますので更新はコンスタントに行えると思います。最後まで見守って下さると嬉しいです。コメント有難うございます (6月24日 14時) (レス) id: d828e70b5b (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - あさん» はじめまして。コメント有難うございます。かなり前に書き溜めてた作品を軽く手直ししながら載せているので至らない所もあるかもしれませんが、最後まで楽しんで頂ければ幸いです... (6月24日 14時) (レス) id: d828e70b5b (このIDを非表示/違反報告)
めぐぽん(*´・∀・)(プロフ) - 更新ありがとうございます!続きが楽しみです! (6月24日 12時) (レス) @page16 id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アカツキ | 作成日時:2023年6月21日 22時