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「ククッ、流石は”副長のほこたて”だな」
高杉は弾き飛ばす様に刀を振るうとすかさずAとの距離を取った。
「勿体無ェな…、手前ェが居るべき場所は
「…俺ならもっと上手く御前を使ってやる」
「Aは”物”じゃねぇ」
息を切らしてやってきた土方は着流しのままだった。
他の隊士が来ていないのを見る限り、一番に飛び出してきたのだろう。
「大人しくお縄につきやがれ」
「…興醒めだ、邪魔が入ったからな」
『副長…ッ!』
高杉の狙いは土方へと変わり、振り上げられる刀に瞬時に反応したのはAだった。
「な…ッ?!」
「チッ… 文字通り、捨て身の盾か...」
高杉の刀は土方を庇う様に覆い被さるAを切り裂いた。
遠くからサイレンの音が聞こえ、高杉は再度舌打ちする。
刀を鞘に収めると笠を被り直し、その場を去って行った。
「トシ! Aちゃん!」
パトカーから降りて駆け寄ってくる近藤局長の声にAはハッとし顔を上げる。
『お怪我は?!』
「馬鹿野郎! 怪我したのはお前だろ!」
『私は、良いんです』
「……、悪い近藤さん、取り逃した」
この状況を見て咎める人など居ない。
土方の悔しそうな顔に近藤は「良いんだ、無事で何より」と優しく言葉を掛けた。
次には直ぐに部下への指示を行った。
「まだ周辺に潜んでいるかもしれない片っ端から捜索、そして見回りの強化をしろ!」
「「「はっ!!」」」
「Aちゃんは屯所に戻って手当てと、事情聴取ね…」
『…はい』
応援を呼んでくれた隊士がAに近付き肩を貸す。
「…すいませんでした、俺…何も出来なくて…」
『いいえ、私一人じゃ死んでました』
パトカーに乗り込んで屯所へ戻る彼女を見届けた土方は顔を歪め、強く唇を噛んでいた。
「トシ…、」
「…分かってる」
そう言い残し捜索へと混ざる土方を近藤は心配そうに見送った。
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アカツキ(プロフ) - めぐぽん(*´・∀・)さん» 最後まで読んでくださり有難うございました。めぐぽん様からのコメントとても励みになりました。 (7月2日 22時) (レス) id: d828e70b5b (このIDを非表示/違反報告)
めぐぽん(*´・∀・)(プロフ) - 完結、お疲れ様です!改めて、アカツキさんのお話が好きだと思いました。また楽しみにしてます! (7月2日 12時) (レス) id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - めぐぽん(*´・∀・)さん» 完結の目処は立っていますので更新はコンスタントに行えると思います。最後まで見守って下さると嬉しいです。コメント有難うございます (6月24日 14時) (レス) id: d828e70b5b (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - あさん» はじめまして。コメント有難うございます。かなり前に書き溜めてた作品を軽く手直ししながら載せているので至らない所もあるかもしれませんが、最後まで楽しんで頂ければ幸いです... (6月24日 14時) (レス) id: d828e70b5b (このIDを非表示/違反報告)
めぐぽん(*´・∀・)(プロフ) - 更新ありがとうございます!続きが楽しみです! (6月24日 12時) (レス) @page16 id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アカツキ | 作成日時:2023年6月21日 22時