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戦争が終わった。
いや、正確には終わっていないのだが…。
それでもAにとっては戦う理由を無くし途方に暮れていた。
手に持ったこの刀を何の意味を成すのだろう。
戦地から離れフラフラと歩けるだけ歩いた先で、「良い刀だな」と声を掛けられた。
それがAと土方との出会いだった。
「手合わせしねぇか?」
『何故』
「お前が強いかどうか、知りたい」
とんだ喧嘩屋だと、初めはそう思った。
立ち向かってくる剣の筋は今まで相手にしてきた誰よりも真っ直ぐで純粋で、受け止めるにはあまりに重い。
『…ッ!』
弛んだ足元に体勢を崩し、腰を着くAに土方は刀を鞘に収めた。
「行く宛が無ェなら一緒に来るか?」
差し伸べられる手に、Aは無意識のうちにその手を掴んだ。
それは彼の手があまりに光って見えたから。
それは掴んだ手があまりに暖かかったから。
理由なんて何でも良い、とにかく気付いた時には彼と共に行く事を決めていた。
「土方だ、土方十四郎」
土方は少しだけ笑って手を握り直すように握手した。
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アカツキ(プロフ) - めぐぽん(*´・∀・)さん» 最後まで読んでくださり有難うございました。めぐぽん様からのコメントとても励みになりました。 (7月2日 22時) (レス) id: d828e70b5b (このIDを非表示/違反報告)
めぐぽん(*´・∀・)(プロフ) - 完結、お疲れ様です!改めて、アカツキさんのお話が好きだと思いました。また楽しみにしてます! (7月2日 12時) (レス) id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - めぐぽん(*´・∀・)さん» 完結の目処は立っていますので更新はコンスタントに行えると思います。最後まで見守って下さると嬉しいです。コメント有難うございます (6月24日 14時) (レス) id: d828e70b5b (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - あさん» はじめまして。コメント有難うございます。かなり前に書き溜めてた作品を軽く手直ししながら載せているので至らない所もあるかもしれませんが、最後まで楽しんで頂ければ幸いです... (6月24日 14時) (レス) id: d828e70b5b (このIDを非表示/違反報告)
めぐぽん(*´・∀・)(プロフ) - 更新ありがとうございます!続きが楽しみです! (6月24日 12時) (レス) @page16 id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アカツキ | 作成日時:2023年6月21日 22時