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「「げ…」」
 



二人の男は顔を見合わせるなり心底嫌な顔をし、そう声を出した。
 



「旦那じゃねぇですかィ、お一人で?」
 




一人の背後からひょっこり顔を出す少しばかり小柄な少年は銀髪パーマの男に声を掛ける。
 





「見ての通りね。お宅等は見回り?」

「土方さんとペアなんてツイてねぇや、一人だったらご一緒したかったでさァ」

「そりゃ残念、今からサボれば? 団子食う? 沖田くんの奢りだけど」


 


“沖田と旦那”のやり取りに”土方”と呼ばれた男は額に青筋を立てて怒鳴り声を上げる。
これもいつもの流れである。


 



「あーぁ煩くて嫌になりまさァ、俺も万事屋に転職しよ」


「無理だよ? ウチはもう手一杯だからね?」


「従業員に給料払わねぇ此奴より真選組の方がホワイトだからな」





ぐうの音も出ない指摘に言わせておけばと立ち上がる銀時はズイ、と土方に詰め寄る…はずだった。



 

「!!」
 




それが出来なくなったのは彼の背後から首筋にかけてスラリと刀身が充てられたからだ。
思っても見ない出来事に銀時は体を硬直させ思わず両手を上げた。
 




「Aさん、その人は万事屋でさァ」

『そうですか』

「…一般市民なんですけど、刀下げてくれます?」

『……』




“A”と呼ばれたその人は声を聞く限り女だと認識できた。



女人禁制である真選組で何故、とか。
てか何で俺は刀向けられてんの、とか。



銀時の頭の中はクエスチョンマークでいっぱいだった。
 




「土方さん、アンタが止めねぇと下げやせんぜ」



「はぁ…、A、離れろ」






 

そうして初めて銀時の首からゆっくりと刀が離れていき、彼は詰まっていた息を吐き出した。
 







「…おいおい…、一般市民に躊躇なく抜刀とか、チンピラと言うよりいよいよヤクザじみてきたな…」
 







そんな悪態を吐いてはいるものの、銀時は冷や汗を流す。
己に刀を向けたその女の面を拝もうと振り返り見ると想像よりもはるかに背の低い小柄な女がそこにいた。
 






「うわ、小さ」
 





彼女を見て一番に出た感想がこれである。
 





『人を見た目で判断するなと教わらなかったのですか?』
 





怒っている、というより怪訝そうにそう言葉を述べる彼女に土方は片手で顔を覆った。
 






「はぁ…、もう良い、行くぞ」
 







土方は踵を返し背を向け歩き出すと”A”と呼ばれた女もその後を付いて行った。







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2.→



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アカツキ(プロフ) - めぐぽん(*´・∀・)さん» 最後まで読んでくださり有難うございました。めぐぽん様からのコメントとても励みになりました。 (7月2日 22時) (レス) id: d828e70b5b (このIDを非表示/違反報告)
めぐぽん(*´・∀・)(プロフ) - 完結、お疲れ様です!改めて、アカツキさんのお話が好きだと思いました。また楽しみにしてます! (7月2日 12時) (レス) id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - めぐぽん(*´・∀・)さん» 完結の目処は立っていますので更新はコンスタントに行えると思います。最後まで見守って下さると嬉しいです。コメント有難うございます (6月24日 14時) (レス) id: d828e70b5b (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - あさん» はじめまして。コメント有難うございます。かなり前に書き溜めてた作品を軽く手直ししながら載せているので至らない所もあるかもしれませんが、最後まで楽しんで頂ければ幸いです... (6月24日 14時) (レス) id: d828e70b5b (このIDを非表示/違反報告)
めぐぽん(*´・∀・)(プロフ) - 更新ありがとうございます!続きが楽しみです! (6月24日 12時) (レス) @page16 id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アカツキ | 作成日時:2023年6月21日 22時

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