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ピチチッ、ピッ…
飛んできた小鳥が地面へ見事な着地を披露し、きょろきょろと辺りを見渡している。
長閑な時間が流れるそこは江戸から少し離れた、...謂わば田舎だった。
ドカ…ッ
『ふぅー…』
大きめの段ボールの箱を地面に置いたAは薄ら浮かび上がった額の汗を拭い、もう片方の手で腰を叩く。
『すぅ.........はぁ.........』
そして大きく深呼吸。
同じ地球なのにこうも空気が美味しいなんて、もっと早く此処に来れば良かったと今になって思う。
数日前、Aは江戸から離れこの田舎へと引っ越してきた。
花吐き病は悪化する一方で、治る兆しも無く、残りの時間を自分の好き勝手に生きてやろうと思ったのだ。
これは決してヤケクソなんかではなく、今までそうしたいと思っていても出来なかった事をしているだけ。
『...誰かに看取られるのも嫌だし、ピッタリじゃん』
『ケホ…ッ、ンン"...』
まるで言い聞かせるように呟いたが、口から溢れ出した花は
[金盞花]:[寂しさに耐える/別離の悲しみ]
Aは花弁を握り締め潰す。
『うるさい』
誰に言うでもない
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アカツキ(プロフ) - 美姫さん» コメント有難うございます。登場キャラの想いが交差してぐちゃぐちゃに絡まるような、そんなお話にしたかったのですが難しかったです... 最後まで読んでくださり有難うございました (2023年2月12日 10時) (レス) id: 359e2a8a6b (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - 切なくて切なくて、でもとても美しい作品で、涙が止まりませんでした。本当に最高の作品でした。ありがとうございました。 (2023年2月12日 7時) (レス) id: ac5aee6225 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - おひなさん» 初めまして。コメント有難うございます。土方さん落ちは久々だったのでこれで良いのか迷走しましたが、おひなさんの暖かい言葉に救われました (2023年2月9日 7時) (レス) @page49 id: 359e2a8a6b (このIDを非表示/違反報告)
おひな(プロフ) - 最っ高な作品をありがとうございました!終始涙腺崩壊でした!w (2023年2月9日 2時) (レス) @page49 id: fb3fd917e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アカツキ | 作成日時:2022年12月27日 23時