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「あれ、Aさんじゃねぇですか」
振り返った先に沖田の姿があった。
Aは笑顔を見せる。
「体調どうですかィ」
『ばっちり! 沖田くんが救急車呼んでくれたって? 有難うね』
「いーえ、お礼はそこの団子で良いでさァ」
『……ちゃっかりしてるねー…良いけど』
着物の袖から財布を取り出して、団子の入ったショーケースを眺める。
『沖田くん、見て、これ新作だって』
「良いですね、んじゃこれで」
『私も食べよーっと。すいませーん、これ2つください』
Aの注文を聞いたおばちゃんは「はいよ〜」と優しい声で返事してショーケースの戸を引く。
白い皿に2本の団子が乗せられた。
「いただきます」
沖田の大きく開けた口に吸い込まれていくかのように串に刺さった団子が一つ、また一つと無くなっていく。
頬を膨らませて咀嚼する彼は顔を綻ばせた。
『美味しい?』
「へい、Aさんは食べないんですかィ?」
『食べようと思ったけど、沖田くんが食べてるのみて満足しちゃった』
『私のも食べて良いよ』と差し出すと沖田は一瞬躊躇した後団子を手に取った。
『沖田くんは良いね』
「何がでさァ」
『"何も"言ってこないところ』
「"何か"言って欲しいんで?」
『まさか。ただ、またこうしてお団子一緒に食べて欲しいな』
「Aさんは食べてないですけどね、喜んで」
すっかり完食された団子の串がカランと皿の上に置かれたが二人は暫く席から立とうとはしなかった。
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アカツキ(プロフ) - 美姫さん» コメント有難うございます。登場キャラの想いが交差してぐちゃぐちゃに絡まるような、そんなお話にしたかったのですが難しかったです... 最後まで読んでくださり有難うございました (2023年2月12日 10時) (レス) id: 359e2a8a6b (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - 切なくて切なくて、でもとても美しい作品で、涙が止まりませんでした。本当に最高の作品でした。ありがとうございました。 (2023年2月12日 7時) (レス) id: ac5aee6225 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - おひなさん» 初めまして。コメント有難うございます。土方さん落ちは久々だったのでこれで良いのか迷走しましたが、おひなさんの暖かい言葉に救われました (2023年2月9日 7時) (レス) @page49 id: 359e2a8a6b (このIDを非表示/違反報告)
おひな(プロフ) - 最っ高な作品をありがとうございました!終始涙腺崩壊でした!w (2023年2月9日 2時) (レス) @page49 id: fb3fd917e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アカツキ | 作成日時:2022年12月27日 23時