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Aへのあの日の埋め合わせは結局何も出来ていない。
それで所では無い程、この数日は忙しかったのだ。
いや、本当に。
「っはぁ〜、そろそろ行かねぇとなぁ...」
ぽつりとそんな事を口にすると玄関のチャイムが鳴り響く。
重い腰を持ち上げようとしたところ、今度はガンガンと玄関の戸を激しく叩く音が聞こえてきた。
「えっ、何、怖...」
生憎、新八と神楽は外出しており、その戸を開けて正体を確認するのは銀時しか居ない。
恐る恐る玄関に近付いてみると、磨りガラスから見える姿は小柄の女性だった。
『銀時さん!』
玄関の扉越しから何となくそうだろうとは思っていたが、それは間違いなくAの声で、先程の不信感は吹っ飛んで行った。
「え、何どうしたの? これから行くつもりだったんだけど...」
『どうしてッ! どうして言ってくれないんですか…!』
「何が?」
こんなにも取り乱した彼女を見るのは初めてだったし、何より問い詰められるような物言いに困惑する。
しかし、『絵の事です!』と言われれば納得がいってしまう。
「あ…っ、あー......」
「悪ィ、勝手に...」
怒っているであろう彼女にバツ悪くなりつつ、目を逸らして謝った。
『違います、違うんです…謝って欲しいんじゃない』
それはいつもの静かな口調になっていたがあまりにも弱々しくて視線を戻した。
『何も、知らなかったんです』
『あんな事があったのにお客さんは増えて行って』
『変だなって思ってたんです』
その表情は困っているのか怒っているのか、それすらよく分からなかった。
ただ俺にはどうする事も出来なくて、そっと彼女に手を伸ばす。
『貴方だったんですね、』
スルりと触れた頬は滑らかで、少しだけ熱っぽい。
じんわり伝わる熱さも離したくはなかった。
『銀時さん』
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アカツキ(プロフ) - 黒猫さん» 黒猫さん、お久しぶりです。コメントありがとうございます。終わりが見えずグダグダと更新してますがそろそろ本気で終わらせようと思います… (2022年10月26日 7時) (レス) id: 16de2d871f (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - 衝撃的な展開! てかお前かい! このモブめo(`ω´ )o (2022年10月24日 22時) (レス) @page21 id: 8c85f5adc6 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - 黒猫さん» コメント有難う御座います。もう少し続きますが最後まで楽しんでいただければと思います (2022年8月23日 7時) (レス) id: 5f592be880 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - 応援してます! (2022年8月22日 21時) (レス) id: 1ec2eca413 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アカツキ | 作成日時:2022年8月21日 17時