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カチャ......とトレーに使用済みの器具を置く。
手には器具と同じように赤い血が媚り付いていた。
ふぅ、と小さく吐き出した息はマスクの中で籠り気持ち悪い。
眩しい程の照明は一箇所を集中して照らして居たがそれも直に消され、部屋全体の明かりが付く。
「お疲れ様です」
『お疲れ様でした』
他のスタッフも同様にそんなお決まりの挨拶が数回繰り広げられ、自動ドアを抜けた。
「お疲れ」
『お疲れ様、今日も有難う』
「此処ン所ぶっ通しの手術が多くて嫌にならァ」
『本当にね』
晋助はマスク紐を解き、出入口直ぐの洗面で念入りに手を洗う。
Aも同じような動作をしながら彼と会話を交えた。
「...A、御前ェ痩せたんじゃねぇか?」
『ぇ? そう?』
「......今日はもう上がりだろ、俺ン家来い」
Aはバッと高杉を見る。
しかし高杉は彼女の方を見ることなく全ての支度を済ませていた。
「飯、作ってやる」
『ど...、どうしたの急に、え? 何?』
「どうせろくなもん食ってねェだろ」
『ぅぐ、』
確かに最近はコンビニのおにぎりやらカップ麺やら栄養の偏りは最悪だ。
それを自覚しているからこそAは反論の言葉が口から出なかった。
『じゃぁ...お言葉に甘えて......』
「俺ァ引き継ぎしてから帰る、先に行ってろ」
『ぅわっ…?!』
投げられたのは家の鍵だった。
そのままスタスタと行ってしまう高杉に、Aは立ち尽くしては手の中の鍵を見詰めた。
『...また心配掛けちゃったなぁ......』
ふふ、と小さい笑いと共にそんな独り言を呟くのだった。
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アカツキ(プロフ) - 美咲さん» 初めまして、コメント有難うございます。書きたいと思い続けて数年経った医者パロなのでかなり自己満ながらドキドキしつつ書いています。更新速度は気紛れですがお楽しみ頂ければ幸いです (2020年10月17日 21時) (レス) id: cb25f868cb (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - 今、私が求めていた医者パロを、ありがとうごさいます!更新頑張ってください! (2020年10月17日 18時) (レス) id: 5f3a224cad (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - Sakuraさん» 今回も早速のコメント有難うございます、お待たせしました...! 何度も考えつつ知識が無いので書かずにいた医者パロ... 不慣れですが温かい目で見守っていただければと思います。よろしくお願いします (2020年10月15日 22時) (レス) id: 5f592be880 (このIDを非表示/違反報告)
Sakura(プロフ) - 新作待ってました…!!!!!病院舞台とか私得でしかないです笑 更新頑張ってください! (2020年10月15日 22時) (レス) id: 321ab1938b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アカツキ | 作成日時:2020年10月15日 22時