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せっかく夏休みに入ったって言うのに、集中講義とかなんとかで結局大学にいる。
ゼミの面々がそろった教室の中で、私はおやつにとクッキーをかじっていた。
「はぁ、宮くんミスターコン出るの！？」
休み時間のざわついた教室でもよく響いた先輩の声。
思い思いにしていたおのおのの視線が、治くんに集まる。
彼はすごく、すごく嫌そうな顔をして、出る気なんてみじんもあらへんかったんですよ、と言った。
「友達が俺の学籍番号控えて勝手に応募しとったんすよ」
まるで苦虫をかみつぶしたような顔だ。
うちの大学は、十月に後期が始まってすぐに文化祭がある。
その文化祭でミスターコンとミスコンがあるのだけれど、大体夏休みにその顔ぶれが発表される。
候補者たちはTwitterのアカウントを開設したりして、自撮りやらなにやらで自分をアピールしていくのだ。
確かに治くんは綺麗な顔をしている。
大学の中でもその派手な髪色と身長は目を引くし、体格もかなりしっかりしているのだ。
ミスターコンに他薦されても何もおかしくないのである。
「頑張ってね、治くん」
私が声をかけると、彼は眉をひそめてから、
――ふっ、と目元を緩めてゆるく笑った。
「やるからには負けたないしな、」
治くんってそんな笑い方もできるんだ。
って、そう目を奪われた。
初めて会った時からかっこいいひとだ、とは思っていたけれど。
子供みたいに無邪気にご飯を食べる顔や、課題が終わらないと泣きついてくる顔、普段のちょっとけだるげな顔に、関西人らしくゲラゲラと笑う顔しか見たことはなかったのだ。
今の彼は、それらのどれにも当てはまらないような、ちょっと大人びた顔。
「……そう、やね」
そんな彼の笑顔を見て、私はそう返すので精いっぱいだった。
私たちはゼミの同期ってだけ。だからいつも一緒にいるわけじゃない。
そんな顔を唐突に見せられたら。
「Aちゃんも俺に投票してな」
「うん、投票してあげる」
ありがとう、と綺麗な弧を描いた口元。ちょっと下がる眉。細められた目。
――ずるいよ、治くん。
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雛(プロフ) - ネオンガールさん» ありがとうございます！よかったです！！！ (2018年12月24日 18時) (
レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)
雛(プロフ) - Blueさん» そう言っていただけるとこちらとしても非常に嬉しいです！最後までお付き合いいただきありがとうございました(；；)次回作も鋭意準備中ですので、楽しみにお待ちいただけたらと思います！ (2018年12月24日 18時) (レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)
ネオンガール(プロフ) - 雛さん» めっちゃキュンキュンしました！！笑 (2018年12月24日 12時) (レス) id: 18c4f82065 (このIDを非表示/違反報告)
Blue - この作品のおかげで治くんがめちゃくちゃ好きになりました。作品の完結おめでとうございます！お疲れ様でした！そして、書いて下さりありがとうございました！次回作も楽しみにしています！！ (2018年12月24日 1時) (レス) id: 82a4b13a9b (このIDを非表示/違反報告)
雛(プロフ) - 彩兎さん» コメントと労いのお言葉たいへん嬉しいです。恋愛はもちろんですが、食について掘り下げたお話にしたかったので、少食に共感していただけるとこちらも書いた甲斐があるなと思います。こちらこそ最後までお付き合いいただきありがとうございました！ (2018年12月24日 0時) (レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雛
| 作者ホームページ：https://twitter.com/pp__synd
作成日時：2018年11月4日 17時
