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「そういえば──」
リビングにいる治くんにどの野菜を持って帰るか聞かないと。
そう思って、言いながら一歩後ろに下がってリビングの方を見ようとしたのに。
「おわっ」
「え、」
一歩下がった私は、後ろに立っていた治くんにぶつかったらしい。
てっきりリビングにいたままだと思っていたが、皿をもって立ち上がった私についてきていたようだ。
よろめいた私の肩を咄嗟に彼が支えてくれたけれど。思わず抱き留められる形になってしまって、心臓が変な音を立てた。空調はしっかり効いているはずなのに、体温がどんどん上がって、血液が沸騰してしまいそうな感覚に陥る。女子の中では長身の私を軽々と支えてしまう大きな手。触れているところなんて蒸発してしまいそうだ。
「Aちゃん、大丈夫か」
「……だいじょうぶじゃない」
おもに、心臓が。早く手を離して欲しい。
ぶつかった反動で前のめりになったのを捕まえられているわけで、そんなの勢いで抱きしめられているのと大差なくって、彼に他意はないと知っているのに、それでも急激に早くなっていく鼓動が私を支配して、うまく体が動いてくれない。
「え、ごめん」
「あ、いや、大丈夫！」
慌てて治くんから離れるように飛びのいたら、今度は冷蔵庫に肘をぶつけた。
キッチンに鈍い音が響く。
「ぎゃあっ！」
「……大丈夫か？」
「……びびびーって来る」
「あるあるやな」
「なんだっけこれ、ああ、ファニーボーンだ」
一周回って冷静になりすぎて口をついて出た言葉に、治くんは目を丸くする。
「それそんな名前なんか」
「らしい」
「へえ」
「……」
「……」
蛇口から流れ出る水音だけが、キッチンに響く。何とも言えない空気になってしまった。
痺れた肘をさすりながら、とりあえず蛇口を閉めた。さっきのが恥ずかしくて、どうにも治くんの方が見られない。治くんが触れたところがいつまでも熱を持っているような、そんな感じだ。
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雛(プロフ) - ネオンガールさん» ありがとうございます！よかったです！！！ (2018年12月24日 18時) (
レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)
雛(プロフ) - Blueさん» そう言っていただけるとこちらとしても非常に嬉しいです！最後までお付き合いいただきありがとうございました(；；)次回作も鋭意準備中ですので、楽しみにお待ちいただけたらと思います！ (2018年12月24日 18時) (レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)
ネオンガール(プロフ) - 雛さん» めっちゃキュンキュンしました！！笑 (2018年12月24日 12時) (レス) id: 18c4f82065 (このIDを非表示/違反報告)
Blue - この作品のおかげで治くんがめちゃくちゃ好きになりました。作品の完結おめでとうございます！お疲れ様でした！そして、書いて下さりありがとうございました！次回作も楽しみにしています！！ (2018年12月24日 1時) (レス) id: 82a4b13a9b (このIDを非表示/違反報告)
雛(プロフ) - 彩兎さん» コメントと労いのお言葉たいへん嬉しいです。恋愛はもちろんですが、食について掘り下げたお話にしたかったので、少食に共感していただけるとこちらも書いた甲斐があるなと思います。こちらこそ最後までお付き合いいただきありがとうございました！ (2018年12月24日 0時) (レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雛
| 作者ホームページ：https://twitter.com/pp__synd
作成日時：2018年11月4日 17時
