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「ええ匂いやなあ……しあわせの匂いや」
「おなか減ってきたねえ」
「俺もうぺこぺこやで、ずっと今日一日大学を奔走しとったから」
「お疲れ様だねえ」


なんだか穏やかに流れていくような会話にどこか気恥ずかしさを覚えつつも、すごく嬉しい。
なんだかカップルみたいじゃないか、って思いあがりそうになる。


「治くんいるし、自分の家だから、食べられる量とか気にしなくてもいいからなあ」
「せやなあ」


だから、気楽だ、というのもある。
食に対する私のマイナス思考は、治くんのおかげでだいぶ緩和されたし、治くんとご飯を食べるのは好きなのだ。
美味しいものを美味しいまま食べ終わることができる幸せは給食がなくなった高校で初めて知ったけれど、食べることがただ生きるための行為ではなく、何かのモチベーションになり得るくらいに楽しいことだと教えてくれたのは治くんだった。


「……ありがとう」
「え、何が」
「治くんと一緒にご飯食べるようになってから、ごはんって楽しいなって思うようになった」
「ええやろ、めし」
「うん、いいね」


やっぱり山盛りによそわれたご飯には、たくさんルーをかけてあげた。
実家からの夏野菜がたくさん入った栄養満点のカレーだ。

シンクと冷蔵庫の隙間から踏み台を取り出して、私も自分が食べられる量のご飯をよそう。

今日はサラダもスープもあるし、控えめにいこう。余ったらきっと、治くんが食べてくれる。


 *


治くんは美味しい美味しいと言いながらぺろりとすべてを平らげた。米の一粒も残さずに。


「ごちそうさまでした、ありがとうAちゃん」
「おそまつさまでした」


ローテーブルの向かい側で満足そうに両手を合わせた治くんが、皿をもって立ち上がる。


「あ、いいよいいよ、治くんが帰った後に私が片付けるから」
「ほんま? でも申し訳ないわ」
「いいっていいって」


とりあえず彼から皿を受け取って、空になった自分の分の皿と重ねてキッチンへと立ち上がる。
シンクにそれを置いて、水に浸けておこうと蛇口をひねった。

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(プロフ) - ネオンガールさん» ありがとうございます!よかったです!!! (2018年12月24日 18時) (レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - Blueさん» そう言っていただけるとこちらとしても非常に嬉しいです!最後までお付き合いいただきありがとうございました(;;)次回作も鋭意準備中ですので、楽しみにお待ちいただけたらと思います! (2018年12月24日 18時) (レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)
ネオンガール(プロフ) - 雛さん» めっちゃキュンキュンしました!!笑 (2018年12月24日 12時) (レス) id: 18c4f82065 (このIDを非表示/違反報告)
Blue - この作品のおかげで治くんがめちゃくちゃ好きになりました。作品の完結おめでとうございます!お疲れ様でした!そして、書いて下さりありがとうございました!次回作も楽しみにしています!! (2018年12月24日 1時) (レス) id: 82a4b13a9b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 彩兎さん» コメントと労いのお言葉たいへん嬉しいです。恋愛はもちろんですが、食について掘り下げたお話にしたかったので、少食に共感していただけるとこちらも書いた甲斐があるなと思います。こちらこそ最後までお付き合いいただきありがとうございました! (2018年12月24日 0時) (レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:https://twitter.com/pp__synd  
作成日時:2018年11月4日 17時

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