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とりあえず食べ物はちまちまと手を付けて少しずつ消費するしかないだろう。

今は手を付けずに話に戻ろうと、また先輩たちの声に耳を傾けると、それは兄弟についての話題だった。



「Aちゃん兄弟いるの?」
「姉が一人いますよ」
「じゃあ妹なんだ!」



ゼミに配属されたのが四月で、今は七月末。
まだゼミに入って四か月だ。

皆は私についてさして知らないし、私も皆についてはさして知らない。


そういう話題になるのも別におかしくはなかったけれど、それよりも目の前の皿のことを考えると何もしゃべる気にならなくて。


私はただ適当にみんなの話に相槌を打つ方に徹したかった。


しかし、新入りの私にはそれも許されないらしく、姉についてのあれやそれやについての質問がまた矢継ぎ早に私を襲った。



「えっと、あの――」
「そういえば、俺双子なんすよ」


私の言葉を遮るように、そんな低い声が聞こえた。


驚いて隣を見ると、新入り同士は引き離そうという計らいで別の卓にいたはずの治くんが座っていた。
さっきまで彼がいたはずの卓はまた別の話題で盛り上がっているのか、彼が抜けたことを大して気に留めている様子はなかった。



「すんません、兄弟の話しとるのが聞こえたんで」



卓の間の移動は特に咎められることもない。
その証拠に、今治くんが座った私の隣はさっきまで別の先輩がいた。


彼の「双子」という言葉に、あっという間に先輩たちの関心は私から治くんに逸れる。

私も彼のその詳細が知りたかった。



「××大におるんすけど、……あ、これっす」



彼はその長い指でスマートフォンに指を滑らせた後、私たちの方にそれを向けた。


画面をのぞき込めば、彼と瓜二つの男がそこには映っていた。

彼のように髪をツーブロックに刈り上げて、金髪に染めている。
治くんが銀髪なのは、もしかしたら見分けをつけるためかもしれない。


それでも私はパッと見て見分けられる自信がない。それくらい治くんとその片割れはよく似ていた。

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(プロフ) - ネオンガールさん» ありがとうございます!よかったです!!! (2018年12月24日 18時) (レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - Blueさん» そう言っていただけるとこちらとしても非常に嬉しいです!最後までお付き合いいただきありがとうございました(;;)次回作も鋭意準備中ですので、楽しみにお待ちいただけたらと思います! (2018年12月24日 18時) (レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)
ネオンガール(プロフ) - 雛さん» めっちゃキュンキュンしました!!笑 (2018年12月24日 12時) (レス) id: 18c4f82065 (このIDを非表示/違反報告)
Blue - この作品のおかげで治くんがめちゃくちゃ好きになりました。作品の完結おめでとうございます!お疲れ様でした!そして、書いて下さりありがとうございました!次回作も楽しみにしています!! (2018年12月24日 1時) (レス) id: 82a4b13a9b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 彩兎さん» コメントと労いのお言葉たいへん嬉しいです。恋愛はもちろんですが、食について掘り下げたお話にしたかったので、少食に共感していただけるとこちらも書いた甲斐があるなと思います。こちらこそ最後までお付き合いいただきありがとうございました! (2018年12月24日 0時) (レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:https://twitter.com/pp__synd  
作成日時:2018年11月4日 17時

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