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ボーリングについては、ノーコメントで行こう。
私があまりにもへたくそすぎてゲラゲラ笑われたという時点で察されたい。
「──ええ時間なってもーたな、晩飯も食べて帰る？」
腕時計を見た治くんのそんな質問に、私はすぐに答えられなかった。
晩ご飯を一緒に食べるとしたら、きっと私は完食できないだろう。
つまり、治くんに食べてもらうことになるのだ。
さっき「いつも食べてもらうけれど、食べてもらわなかった」からデートになったこと鑑みると、これではデートじゃない普段のご飯に成り下がってしまう。
せっかく治くんがデートだとこれを称してくれたのに、結局食べてもらうというオチが急に怖くなってしまって。
「……Aちゃん？」
黙り込んでしまった私の名前を、怪訝そうに治くんが呼ぶ。
慌てて何か言わなくちゃと口を開いてから、また逡巡した。
ここでデートという単語に固執し続けて変に期待するのも、あとから自分が傷つくだけなんじゃないか。
あげられて落とされるくらいなら、最初から食べられないものを食べてもらうという正当化するための道を作っておいた方がいいんじゃないか。
「……いや、どこか行きたいところがあるなら、行こう」
絞り出した答えは、保身に走ったものだった。
治くんと甘いものを食べに行って、デートという名前を付けて、ボーリングで遊んじゃったりなんかして。
それで終わってしまったら、何かあとからツケが回ってくるような気がしたのだ。
なんのツケかは分からないけれど、とにかく片思いする女として贅沢過ぎて死んでしまうから。
私の答えを聞いて、治くんはおーんと間抜けな相槌を打って、それから言った。
「やっぱり、今日は帰らへん？」
「え？」
この男は爆撃機か何かなのだろうか。次から次へと投げられるときめきの爆弾に、今日だけで何人の私が死んだだろう。
いや、別に私がデートから普段のご飯に成り下がることを恐れていることに彼が気付いてるとは思わない。
だから確信犯じゃないとは思うのだけれども、結果的に私の心臓は爆破されているのだから仕方がない。
「まあ、晩飯はいつでも行けるしな」
「……そうだね」
どういう意図でそれを言ったのかは分からないまま、駅へと歩きだす。
なんとなく何を話していいかわからなくて、無言だった。
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雛(プロフ) - ネオンガールさん» ありがとうございます！よかったです！！！ (2018年12月24日 18時) (
レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)
雛(プロフ) - Blueさん» そう言っていただけるとこちらとしても非常に嬉しいです！最後までお付き合いいただきありがとうございました(；；)次回作も鋭意準備中ですので、楽しみにお待ちいただけたらと思います！ (2018年12月24日 18時) (レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)
ネオンガール(プロフ) - 雛さん» めっちゃキュンキュンしました！！笑 (2018年12月24日 12時) (レス) id: 18c4f82065 (このIDを非表示/違反報告)
Blue - この作品のおかげで治くんがめちゃくちゃ好きになりました。作品の完結おめでとうございます！お疲れ様でした！そして、書いて下さりありがとうございました！次回作も楽しみにしています！！ (2018年12月24日 1時) (レス) id: 82a4b13a9b (このIDを非表示/違反報告)
雛(プロフ) - 彩兎さん» コメントと労いのお言葉たいへん嬉しいです。恋愛はもちろんですが、食について掘り下げたお話にしたかったので、少食に共感していただけるとこちらも書いた甲斐があるなと思います。こちらこそ最後までお付き合いいただきありがとうございました！ (2018年12月24日 0時) (レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雛
| 作者ホームページ：https://twitter.com/pp__synd
作成日時：2018年11月4日 17時
