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歓迎会、飲み会、打ち上げ……そういう類のものは嫌いだった。
お酒も雰囲気も嫌いなわけではないのだが、私がそういうイベントを苦手とする所以は。
「Aちゃん、ちゃんと食べてる？ 遠慮しなくていいんだよ！」
「そうだそうだ、もっと食べなよ」
ちびちびとビールを飲んでいた私の皿にどんどん盛られていく食べ物たち。
私はこれが嫌いだった。
「私のことはいいんで、」
そういっても、押し付けられる善意は止まらない。
前期のゼミを終えた打ち上げ、と称した飲み会は、すなわち夏休み突入を表しているのだ。
酒も入って皆のテンションが上がるのも分かるし、ゼミの中では治くんと並んで最年少である私に構いたくなる先輩諸氏の気持ちも分かる。
「……」
ビールを飲み干して、つい眉根を寄せた。
私のジョッキが空いたことに気づいた先輩が、Aちゃん次はどうする、なんて聞くから、とりあえずビールで、とだけ返した。
先輩や先生との話の合間に、目の前の皿を睨む。
てんこ盛りになった好意という名の食べ物たちが、やたらと存在感を持って私にプレッシャーを与えていた。
繰り返そう、私は少食である。
学食でもご飯は五段階中一番小さいSSサイズに、おかずは迷う事なくハーフサイズ。
丼ものやカレーを食べるときはわざわざ学食のおばちゃんに言って、標準よりも減らしてもらうような私だ。
空腹に酒は良くないからと、序盤である程度食べ物にも手を付けたことが災いしたらしい。
腹八分目で食べることをやめて酒とおしゃべりに切り替えた矢先にこれだ。
「Aちゃん？」
不意に名前を呼ばれて、焦った。
大量によそわれた食べ物に気を取られて、話を聞いていなかった。
すみません、と慌てて先輩の方を見ると、いやいや、なんて優しい言葉が返ってくる。
そう、優しいからこそタチが悪いのだ。
彼らは良かれと思って私に次の酒をどうするか聞いてくれたり食べ物をよそってくれたりする。
そんな厚意を無碍にも出来なくて、でも絶対に食べきれない量のそれを見て、どうしていいかわからなくなって泣きそうだった。
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雛(プロフ) - ネオンガールさん» ありがとうございます！よかったです！！！ (2018年12月24日 18時) (
レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)
雛(プロフ) - Blueさん» そう言っていただけるとこちらとしても非常に嬉しいです！最後までお付き合いいただきありがとうございました(；；)次回作も鋭意準備中ですので、楽しみにお待ちいただけたらと思います！ (2018年12月24日 18時) (レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)
ネオンガール(プロフ) - 雛さん» めっちゃキュンキュンしました！！笑 (2018年12月24日 12時) (レス) id: 18c4f82065 (このIDを非表示/違反報告)
Blue - この作品のおかげで治くんがめちゃくちゃ好きになりました。作品の完結おめでとうございます！お疲れ様でした！そして、書いて下さりありがとうございました！次回作も楽しみにしています！！ (2018年12月24日 1時) (レス) id: 82a4b13a9b (このIDを非表示/違反報告)
雛(プロフ) - 彩兎さん» コメントと労いのお言葉たいへん嬉しいです。恋愛はもちろんですが、食について掘り下げたお話にしたかったので、少食に共感していただけるとこちらも書いた甲斐があるなと思います。こちらこそ最後までお付き合いいただきありがとうございました！ (2018年12月24日 0時) (レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雛
| 作者ホームページ：https://twitter.com/pp__synd
作成日時：2018年11月4日 17時
