ド 少 食【宮治】

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幸せそうに口元を緩めてお冷に口をつける治くんの顔を盗み見た。

治くんは、言わずもがなイケメンだ。それは彼のミスターコン用のアカウントのフォロワーが日に日に増えていることが証明しているし、学科の友人からは宮くんと同じゼミなの？ なんて羨ましがられることもあるくらいだし。


でも、それだけじゃない。
なんだかんだ言って単位をかすめ取っていくいかにもなところも好きだ。
それから、優しいところ。一緒に傘に入ったときには私が濡れないようにしてくれたし、他にもいろいろたくさん。彼はいつでも優しい。しかも、それは誰にでもだ。


何よりも、私はご飯を食べているときの治くんが好きだった。
生きててよかった、というふうに大げさなことを言いながら幸せそうにものを食べるのだ。


そういう顔が、私は一番好きだ。



　＊



「ひゃー、めっちゃイチゴや」


彼の言葉通り、粗めに削られたイチゴがみずみずしく口の中で弾けて、練乳と絡んで溶けた。
その幸せそうな笑顔を見て、私もつられて笑ってしまいそうになる。


九月に入ったと言えど、大学はまだ夏休みだし、そこら中に夏の面影は散らばっている。
約束の通り、彼はかき氷を食べに行こうと改めて私を誘ったのだった。それも、休日に。


またなんだかデートみたいだと思うことくらいは許してほしいと思いながら、クローゼットの奥で眠っていたひざ丈のワンピースを引っ張り出してみたりした。

あっでも、メイクはちょっと控えめにしたし、ピアスはシンプルなやつだ。
気合入ってるなこいつって思われたくなかったから、なんて。

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