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らしくもなくスカートを履いた。
背の高い自分には似合わないからって、いつもパンツスタイルだった。
丈は膝よりも下で長いけれど、本当に高校以来のスカートで、なんだか落ち着かない。
揺れるピアスなんてめったにつけないのに、ちょっとだけゆらゆらと揺れるピアスをつけた。
なんだか落ち着かないまま、私は夕方六時半の駅で治くんを待った。
「Aちゃん」
そんな声がして、顔を上げる。
柄でもない恰好をした私とは対照的に、治くんはいつも通りの恰好をしていた。まあ治くんは普段からお洒落なんだけど。
ただその乖離が少しだけ私の胸を刺した。
治くんが私のことをただのゼミ同期としか見ていないことは分かり切っていたのに、それでもやっぱりぐさりと刺されて、どろどろとした感情が私の胸からあふれ出す。
努めて笑顔を作って、私だって治くんのことをただのゼミ同期としてしか見てないよ、なんていうオーラを出して。
「やっほ、治くん」
上手く笑えていただろうか。ばかみたい。
「……なんやAちゃん、今日の服かわええな」
「は、」
だから、驚いた。
確かに私は夏でもスカートなんて全然履かないけれど、治くんがそれに言及してくれるとは思わなかったのだ。
だって、彼はいつも通りの恰好をしているから。
「ありがとう」
それだけ言って、思わず俯いた。
動揺を悟らせたくなかったけれど、あまりにも挙動不審だったかもしれない。
「……行こ」
無理やり場を取り繕うように、私は歩き始める。
のんきに「おん」なんて返事をよこした治くんが、私の隣を歩き始めた。足元を揺れるスカートに、落ち着かなくって。
なんだかデートみたいだ、なんてことは声に出せるわけもなく、ただただ二人で雑踏の中をかき分けていく。
「急にごめんな」
「え、いや、それは大丈夫、だけど」
かかってきた声についそっちを見上げたら、しっかりと目が合った。
今日の自分ががっつりフルメイクであることを思い出して、恥ずかしくなって慌てて目を逸らした。
自分だけそわそわしていることが、なんだか痛い。
痛覚はないのに、じわりじわりと真綿で首を締められているような、息苦しくなるような、そんな。
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雛(プロフ) - ネオンガールさん» ありがとうございます！よかったです！！！ (2018年12月24日 18時) (
レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)
雛(プロフ) - Blueさん» そう言っていただけるとこちらとしても非常に嬉しいです！最後までお付き合いいただきありがとうございました(；；)次回作も鋭意準備中ですので、楽しみにお待ちいただけたらと思います！ (2018年12月24日 18時) (レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)
ネオンガール(プロフ) - 雛さん» めっちゃキュンキュンしました！！笑 (2018年12月24日 12時) (レス) id: 18c4f82065 (このIDを非表示/違反報告)
Blue - この作品のおかげで治くんがめちゃくちゃ好きになりました。作品の完結おめでとうございます！お疲れ様でした！そして、書いて下さりありがとうございました！次回作も楽しみにしています！！ (2018年12月24日 1時) (レス) id: 82a4b13a9b (このIDを非表示/違反報告)
雛(プロフ) - 彩兎さん» コメントと労いのお言葉たいへん嬉しいです。恋愛はもちろんですが、食について掘り下げたお話にしたかったので、少食に共感していただけるとこちらも書いた甲斐があるなと思います。こちらこそ最後までお付き合いいただきありがとうございました！ (2018年12月24日 0時) (レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雛
| 作者ホームページ：https://twitter.com/pp__synd
作成日時：2018年11月4日 17時
