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──さて、どうしたものか。
玄関先に積まれた段ボール箱に詰まった野菜とにらめっこ。
農家の親戚を通じて不定期で届く実家からの仕送りという名の野菜たち。
素寒貧な大学生にとっちゃ糊口を凌ぐのにこの上なくありがたいお布施なのだが、それにしたって量が多すぎて消費が追い付かないのである。いつもは近所の同じ一人暮らしの友人におすそ分けするが、あいにくの夏休みで彼女は留学に行っていた。
致し方ない。
スマホを開き、治くんとのトークルームを呼び出す。
あの一件以来ご飯にすら行ってなかったけれど、まあ距離感を間違えることはないだろうと信じて、メッセージを送った。
『実家からたくさん野菜が届いたんだけど、いらない?』
ツムさんと二人暮らしだと言っていたし、彼らが自炊する人たちならば断られることはないだろうという希望的観測だ。
すぐに既読がついて、『いる』という返事が来る。段ボールの中の野菜を写真に収めて、送り付けた。
『どれが欲しい?』
じゃがいも、にんじん、玉ねぎ、ピーマン、ナス……大根に、冬瓜まである。よりどりみどりだ。
ついた既読に返事を待てば、返ってきたのは予想だにしない一言だった。
『Aちゃんなんか作って』
「……へ?」
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雛(プロフ) - ネオンガールさん» ありがとうございます!よかったです!!! (2018年12月24日 18時) (レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)
雛(プロフ) - Blueさん» そう言っていただけるとこちらとしても非常に嬉しいです!最後までお付き合いいただきありがとうございました(;;)次回作も鋭意準備中ですので、楽しみにお待ちいただけたらと思います! (2018年12月24日 18時) (レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)
ネオンガール(プロフ) - 雛さん» めっちゃキュンキュンしました!!笑 (2018年12月24日 12時) (レス) id: 18c4f82065 (このIDを非表示/違反報告)
Blue - この作品のおかげで治くんがめちゃくちゃ好きになりました。作品の完結おめでとうございます!お疲れ様でした!そして、書いて下さりありがとうございました!次回作も楽しみにしています!! (2018年12月24日 1時) (レス) id: 82a4b13a9b (このIDを非表示/違反報告)
雛(プロフ) - 彩兎さん» コメントと労いのお言葉たいへん嬉しいです。恋愛はもちろんですが、食について掘り下げたお話にしたかったので、少食に共感していただけるとこちらも書いた甲斐があるなと思います。こちらこそ最後までお付き合いいただきありがとうございました! (2018年12月24日 0時) (レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雛 | 作者ホームページ:https://twitter.com/pp__synd
作成日時:2018年11月4日 17時