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悪い子の気持ち、形だけはあの日波に攫わせたけど、本当はそんなふうに簡単に流してしまえるものではないことは分かっている。
だからこそ、わたしはパチンコ玉のように学校を飛び出してきたのだ。
会いたいから。好きだから。
じれったく過ごした半年間を、今日埋めることができるのだろうか。
もしかしたらこれっきりにしようって言われたりはしないだろうか。
不安と緊張と高揚と期待とがぐるぐると渦巻いてわたしを急かす。
考えたって仕方がないのも自分で分かっていた。だから、今はとにかく、夜久に会いたい。
電車に揺られる一時間弱の時間が、何倍も何倍も引き延ばされているようだ。
一駅一駅がやたらと長い。そんなじれったさに胸を焼かれる。
止まるたびに入れ替わる乗客の顔ぶれが少しずつ変わっていくのを感じながら、電車の揺れに身を任す。
遮断機の下りた踏切の前で電車の通過を待つたくさんの車。その間を抜けるとわたしはモーセになったみたい。
もしこれで線路沿いの桜が綺麗に咲いていたら、もっともっとモーセっぽかったのかも。
なんて、馬鹿みたいなことを考えたわたしはやっぱり気分が二転三転しているらしい。
ずいぶんと、それはもうずいぶんと長い間揺れている電車が、いよいよ目的地を告げる。
わたしは電車が速度を落とすよりも早く立ち上がってしまった。
窓ガラスに映るわたしは、彼にとって可愛く映るだろうか。
あの古臭いワンピース型の盛夏服を脱ぎ捨ててから、半年経つか経たないかだろう。
今度は今どきで可愛い冬服にも別れを告げなければならない。
ブレザーの襟を整え、リボンをキュッと引っ張ってみる。
やっぱりこの差はよくわからない。どうして冬服はちゃんとしたブレザーでリボンだってついているのに、夏服はあんなにださいのか。
まったくもういやになる、とはこの三年間でさんざん友達とも言い続けていた。
しかし、あの日脱ぎ捨てたそれに、かえって愛着が湧くなんてことになってるのも不思議だった。
そんなことを考えていたら、いよいよ電車が止まり、アナウンスとともにドアが開く。
改札へと向かう足は軽やかだ。
足に羽が生えているみたい。
いや、背中？
どっちでもいい、とにかく──
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＠でに(プロフ) - 恋すてふ制服 とてもおもしろかったです……きゅんきゅんしました！ (2020年4月24日 17時) (
レス) id: c5f18c8481 (このIDを非表示/違反報告)
雛(プロフ) - 華ノ子さん» コメントありがとうございます。一年以上経ってしまいましたが、本日追加いたしましたのでご覧いただけたら嬉しいです。 (2020年4月23日 23時) (レス) id: b56c38f9b7 (このIDを非表示/違反報告)
ティラミルク(プロフ) - 何回読んでも大好きです。 (2019年10月28日 19時) (レス) id: 936ff86ce1 (このIDを非表示/違反報告)
花籠(プロフ) - めっちゃ面白かったです！！エモエモでした！短編なのに一本の愛がをみた気分になりました！お疲れ様です。 (2019年10月24日 18時) (レス) id: 270ba45bd9 (このIDを非表示/違反報告)
華ノ子(プロフ) - おもしろかったです。制服最後の日の物語はありますか…？ (2019年1月17日 1時) (レス) id: ed7dadd27f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雛
| 作者ホームページ：https://twitter.com/pp__synd
作成日時：2018年12月26日 12時
