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「はい、大丈夫」
「ありがとう」
にかっと笑った夜久にお礼を告げてから、わたしは夜久の後ろに回った。
その背中にはやっぱり芝生がついている。
「とってあげる」
「おう」
その背中に手を伸ばしかけて、思いのほかその背中がたくましいことに気が付いた。
夜久は決して大きくはないけれど、わたしと比べたら普通に大きいし、ああ男の子なんだって、改めて思い知らされる。
昔はよく可愛い可愛い、なんて言っていたあの夜久は、いつのまにか大きくなって大人に近づいている。
大人、ってほど大人ではないけれど、中学生のような成長期前の感じでもない。
まだ成長の余地のある高校生の、年齢相応で少しだけ垢抜けないような、そんな背中。
彼の纏う雰囲気が変わったわけじゃないけれど、どこかが小中のころと違うのだ。
バスで時々会うだけじゃ気が付かなかったものだ。
そっと彼の背中に触れる。薄手の夏服の下の、わたしにはない筋肉質な感触を撫でた。
肩甲骨をなぞるように手を這わせ、背骨に沿って手を下ろす。脇腹を軽くはたけば、ぱらぱらと土や草が落ちていく。
髪もさわるね、と同じように前置きをしてから、そのふわふわしたくせ毛に手を伸ばした。
見た目以上にふわりとしていたその茶髪は思いのほか触り心地がいい。
やわらかい毛から草をつまみ上げて落とし、またつまむ。
こうして夜久に触れているのがなんだかとても不思議な気持ちだった。
心地よくテンポを刻み甘美に私を支配していく心臓は、背徳感と高揚だけで説明できるだろうか。
「……はい、とれた」
「ありがと」
また夜久はわたしににかっと笑う。
眩しいくらいのその笑顔は彼によく似合っていた。
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＠でに(プロフ) - 恋すてふ制服 とてもおもしろかったです……きゅんきゅんしました！ (2020年4月24日 17時) (
レス) id: c5f18c8481 (このIDを非表示/違反報告)
雛(プロフ) - 華ノ子さん» コメントありがとうございます。一年以上経ってしまいましたが、本日追加いたしましたのでご覧いただけたら嬉しいです。 (2020年4月23日 23時) (レス) id: b56c38f9b7 (このIDを非表示/違反報告)
ティラミルク(プロフ) - 何回読んでも大好きです。 (2019年10月28日 19時) (レス) id: 936ff86ce1 (このIDを非表示/違反報告)
花籠(プロフ) - めっちゃ面白かったです！！エモエモでした！短編なのに一本の愛がをみた気分になりました！お疲れ様です。 (2019年10月24日 18時) (レス) id: 270ba45bd9 (このIDを非表示/違反報告)
華ノ子(プロフ) - おもしろかったです。制服最後の日の物語はありますか…？ (2019年1月17日 1時) (レス) id: ed7dadd27f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雛
| 作者ホームページ：https://twitter.com/pp__synd
作成日時：2018年12月26日 12時
