九 ページ9
ぼんやりとした視界には、輪郭のはっきりしない高杉さんが私を見下ろしていた。
たかがキス、いちど。
けれどどうにも気持ちが収まらない。
高揚感に身を任せて居たいのは山々だったけれど、小瓶の液体がそれを許してはくれないようだった。
急激に重みを増した瞼は、徐々に視界を狭めていく。
重力が何倍にも膨れ上がったかのような睡魔に耐えきれず、全身の力が抜けてしまった私は高杉さんにもたれかかった。
両手を肩において、支えてくれる。
「しばらく....休め。」
はい。
そう返事をしようとするも、叶わなかった。
ただ。
その優しい声色に、無理に口移ししてきたことへの不快感は、消え去ってしまっていた。
・
・
・
寝ていられる限界まで睡眠をとり、目を覚ました。
部屋に高杉さんは居ない。
けれどその代わりか、色とりどりの花が室内に散りばめられていた。
花粉を意識してしまうほど濃い花の香りが充満していて、寝苦しい。
けれど高杉さんが私のために花を抱えてあの扉を開けたのだと思うと、なんだか微笑ましかった。
両手ですくった花で花束を作り、それを抱き抱えてまた横になる。
大切なぬいぐるみを抱きしめる子供みたいだと我ながら思った。
力を込めれば込めるほど、茎は折れ曲がり花弁は茶色く変色してしまう。
この花々が鮮やかさを保っていられるのはいつ頃までだろうか。
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沖神 - そ…そうですかw…ごめんなさいw (2017年8月16日 1時) (レス) id: 3e81e6a0f7 (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - 沖神さん» ......む、無料....ですよ! (2017年8月12日 11時) (レス) id: d0946bab96 (このIDを非表示/違反報告)
沖神 - これって有料じゃないです…よ…ね?………… (2017年8月12日 2時) (レス) id: 3e81e6a0f7 (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - あかあしえいたくんさん» ご感想お寄せいただきすごくすごくうれしいです...。こちらこそ、ぜひ応援よろしくお願いいたします。コメントありがとうございました。 (2017年7月13日 0時) (レス) id: 5bb7c4f37e (このIDを非表示/違反報告)
あかあしえいたくん(プロフ) - 高杉すごいドキドキします!すごくすごくおもしろいです!これからもがんばってください!ぜひ、応援させてください! (2017年7月10日 14時) (レス) id: 04caca4bb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しののめ | 作者ホームページ:http://nanos.jp/aoikasou/
作成日時:2017年5月14日 20時